無垢の床に憧れて調べていくと、「無垢床 後悔」「やめたほうがいい」という言葉が目に入って、不安になりますよね。
実際、無垢床には後悔につながりやすいポイントがあります。それは事実です。でも私は、住宅会社で設計と営業をしながら、自宅はトイレ以外すべて無垢床にしました。男の子3人の子育て真っ最中の家で、10年以上使った今も「選んでよかった」と思っています。
床材を売る立場ではないので、今回は後悔しやすいポイントを正直に並べた上で、「後悔する人としない人の違いはどこにあるのか」をお伝えしますね。
先に結論を言うと、違いは床材そのものではなく、「素材の性質を知って選んだかどうか」なんです。
まず正直に:無垢床で後悔しやすいポイント
傷・凹みが「思った以上に」つく
特にヒノキや杉などの針葉樹系は柔らかく、「思った以上に傷がつく」という声は実際にいただきます。杉はとりわけ柔らかい樹種です。物を落とせば凹みますし、おもちゃを引きずれば線が入ります。
隙間が開く
無垢の木は、湿度によって伸び縮みします。季節によって、板と板の間に多少の隙間が開くことがあります。これは素材の性質なので、ゼロにはできません。
水のシミ
濡れたものを放置すると、シミになることがあります。
——ここまで読んで「やっぱりやめようかな」と思った方、もう少しだけお付き合いください。これらを知った上で選んだ人は、ほとんど後悔していないんです。
それでも私が自宅を無垢床にした理由——「15mm全部が木」の意味
一般的な複合フローリングは、合板の表面に薄い化粧シートや突き板を貼ったものです。表面が傷つくと下地が見えてしまい、経年で表面が剥がれてくると、直す方法は張り替えしかありません。
一方、無垢床は15mmほどの厚みすべてが本物の木です。傷がついても「木の傷」であって、剥がれるという概念がそもそもありません。そして——表面を軽く研磨すれば、新品に近い状態に戻せるんです。
わが家の「野菜事件」
実体験をひとつ。以前、買ってきた野菜をうっかり床の上で腐らせてしまったことがあります。床には臭いとシミがついて、拭いても拭いても全く取れません。「やってしまった…」という状態です。
そこで、その部分を紙やすりで研磨して、仕上げのオイルを軽く塗り直したところ——シミも臭いも、完全になくなりました。
複合フローリングなら、張り替えを検討するレベルの失敗です。無垢床は「汚れたら、削って戻せる」。この回復力こそが、後悔しにくさの正体だと思っています。
しかも無垢の木は、年数が経つと色が深く、いい色に育っていきます。小さな傷は、その色の変化の中で目立たなくなっていくんですね。新品がピークの素材ではなく、使い込むほど味になる素材なんです。
長い目で見たメンテナンス費用の話は、こちらの記事や床材の張替え費用の記事でも書いています。
後悔しない選び方①:樹種で「傷のつきやすさ」が大きく変わる
無垢床と一口に言っても、樹種で性格がまったく違います。
- 針葉樹系(杉・ヒノキなど):柔らかく、あたたかみと肌触りは抜群。ただし傷はつきやすい
- 広葉樹系(ナラ[オーク]・サクラ系・カバ・タモなど):硬くて密度があるため、傷が浅く済みやすく、隙間も少なく済む傾向があります
わが家は男の子3人なので、硬めのナラ(オーク)を選びました。椅子の脚にカバーをつけているのもあって、椅子による傷は気にならないレベルです。傷がつきやすいのは玄関付近・ランドセルなど子どもの道具置き場・おもちゃ周辺ですが、それも「気になるほどではない」というのが10年住んだ実感です。
「肌触り重視なら針葉樹、傷への強さ重視なら広葉樹」——ここを最初に決めると、選びやすくなりますよ。
後悔しない選び方②:塗装は「基本オイル、水のかかる所だけウレタン」
無垢床の仕上げには、大きくオイル塗装とウレタン塗装があります。
- オイル塗装:木の質感・肌触りがそのまま活きる。研磨して塗り直す手入れも自分でできる。基本はこれで十分です
- ウレタン塗装:表面に膜を作るので撥水性は高いけれど、肌触りは大きく変わります。そして床のように人がたくさん歩く場所では、撥水効果が徐々に失われていきます
おすすめの使い分けは、「メインの床はオイル、水がかかりやすい部分(洗面横に無垢カウンターを付ける場合など)だけウレタン」です。
後悔しない選び方③:張る場所——無垢は思った以上にタフです
「水まわりに無垢床はダメ」とよく言われますが、現場の実感はちょっと違います。
- トイレ:やめたほうがいいです。汚れが無垢板に染み込むと取れにくいので、ここだけはシート系などをおすすめします
- キッチン:意見が分かれるところです。油や液体をこぼす心配をされる方も多いので、将来の張り替え前提で別の床材にするのも十分アリです
- 洗面所・脱衣室:実は無垢が意外と強いんです。シート系の床材は、湿気の多い脱衣室では隅の接着が弱って剥がれてくると、そこに湿気が入り込んで抜けにくくなり、カビが発生したり床材の寿命が短くなったりするケースを、リフォームの現場で見てきました。
湿気が抜けないままだと、下地の合板が弱って床がフカフカしてくることもあります。無垢の木は、濡れても乾燥さえできれば、腐ったりカビたりしにくい素材です(濡れたマットを何日も置きっぱなしにすればカビますが…)
わが家も子どもが小さい頃はダイニングにクリアマットを敷いていましたが、マットの下がカビることもありませんでした。無垢床は、思った以上にタフで管理しやすい——これが10年以上の実感です。
後悔しないための、いちばん確実な方法
最後に、私が仕事で必ずやっていることをお伝えします。それは、無垢床を検討しているお客さまに、築10年以上経った、実際に子育て中のお宅を見てもらうことです。
新品のショールームだけで決めると、「想定外の傷」「想定外の隙間」が後悔になります。でも、10年使った床の傷も隙間も色の変化も先に見て、納得して選んだ方は、ほとんど後悔されません。
逆に言えば、実物を見て「この傷や隙間は、うちは許容できない」と感じたなら、無垢床を選ばないのが正解です。傷や隙間をどう感じるかは、人によって本当に違います。実際の経年を見て「これなら大丈夫」と思えた方には相性◎、「やっぱり気になってしまう」と感じた方には合わない素材——それだけのことなんです。どちらの選択も間違いではありません。
なので、住宅会社に相談するときは、ぜひこう聞いてみてください。
- 「築10年くらい経った無垢床のお宅を見せてもらえますか?」
- 「この樹種は、何年でどんな色になりますか?」
- 「研磨やオイルの手入れは、自分でできますか?」
経年したお宅を見せられる会社かどうかは、その会社の家づくりへの自信の表れでもあります。会社選びの視点は、こちらの記事でも書いています。
おわりに
無垢床のデメリットは、たしかに存在します。でもそれは「素材特有の性質」であって、知って選べば後悔にはなりません。そして無垢床には、複合フローリングにはない「削って戻せる回復力」と「使うほど味になる経年変化」があります。
傷も隙間も含めて家族の歴史として育てていける床——わが家はこれを選んで、よかったと思っています。
これから家づくり・リフォームをされる方の、参考になれば嬉しいです。

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