住み始めて1年。そろそろ1年点検のお知らせが来る頃でしょうか。
「何を見てもらえるんだろう」「うちのこの隙間、言ってもいいのかな」と思っている方に、点検する側から本音でお話ししますね。
先にお伝えすると、1年点検で実際に手を動かすことの多くは、建具の調整です。ドアの閉まりが少し重い、引き戸がスムーズじゃない。そういう「暮らしの中の小さな引っかかり」を直すのが、この点検の主な役目なんです。
この記事でわかること
- 1年点検で実際に直していること
- 点検する側が見ている4か所(床下や屋根裏にも潜ります)
- 施主がやっておくと点検が変わる2つの準備
- 点検の連絡が来ないときの考え方
1年点検で実際に直しているのは、こういうことです
一番多いのは、ドアや引き戸の建て付けの調整です。
新築の家は、1年かけて木が動きます。乾燥して少し縮んだり、荷重で微妙に落ち着いたり。だから引き渡しのときにピタリと合っていた建具が、1年後には「なんとなく重い」「少し擦れる」となることがあるんですね。
これは不良品ではなく、木の家では起きること。調整ネジを回して数分で直ることがほとんどです。
次に多いのがサッシまわり。窓の開閉や鍵のかかり具合も、1年経つと少しずれることがあります。ここも調整で収まります。
内装は「動きがあった場合だけ」です。たとえば漆喰の壁に細いすきが出ることがあります。これも下地や構造材が動いた結果なので、補修して終わり。
知っておいてほしいこと
1年目に出る小さな変化の多くは、家が落ち着いていく過程で起きるものです。「欠陥かも」と不安になる前に、点検で見せてください。
点検する側が見ている4か所
では点検のとき、私たちがどこを見ているのか。大きく4つです。
床下。点検口を開けて、実際に潜ります。配管からの水漏れ、基礎の状態、湿気の具合。ここは住んでいる方が絶対に見ない場所なので、点検の価値が一番高い場所かもしれません。
屋根裏。こちらも潜ります。雨漏りの跡がないか、断熱材がずれていないか、結露の気配はないか。1年目に異常がないと確認できると、その後がだいぶ安心です。
内装。建具の動き、床や壁の状態、クロスや塗り壁の変化を見ていきます。
外装。外壁、基礎まわり、雨樋、水はけ。バルコニーの排水口にゴミが溜まっていないかも見ます。ここは詰まると雨漏りにつながる場所なんです。
そして4つの他に、住んでいる方が気になっているところ。これが実は一番大事だったりします。
施主がやっておくと、点検が変わる2つの準備
ここからが、この記事で一番お伝えしたいところです。ちょっとしたことで、点検の中身がぐっと濃くなります。
1つ目。点検口の前を空けておいてください
さっき書いたとおり、床下と屋根裏には人が潜ります。点検口はたいてい洗面所の床や、押入れ・クローゼットの天井にあります。
その前に収納ケースが積んであったり、洗濯機まわりに物が並んでいたりすると、まずそれを動かすところから始まるんですね。荷物をどけて、点検して、また戻して。この時間がもったいない。
前日にちょっとどけておいてもらえるだけで、点検そのものにしっかり時間を使えます。
2つ目。気になることは、日程調整のときに伝えてください
これが本当に効きます。
「玄関ドアが少し重い」「2階のトイレの換気扇の音が気になる」——こういう話を事前に聞けていると、必要な部材や道具を持って行けるんです。
当日に初めて聞くと、「部品を取り寄せますね」となって、後日もう一度うかがうことになります。でも事前に分かっていれば、その日のうちに直せることが多い。
連絡するときのコツ
細かくなくて大丈夫です。「どこの・何が・どんなふうに」の3つだけ。「洗面所の引き戸が、閉めるとき最後に引っかかる」で十分伝わります。
「こんな細かいこと言っていいのかな」と遠慮される方がいるのですが、遠慮はいりません。小さいうちに直すほうが、家は長持ちします。
家の暮らしにくさは、住んでいる方にしか分かりません。私たちが1日いても気づけないことを、毎日そこで暮らしている方は知っているんです。
1年点検の連絡が「来ない」ときは
ここは正直にお話しします。
新築の定期点検は、法律で義務づけられたものではありません。会社ごとのアフターサービスとして行っているものです。だから点検の時期も回数も、会社によってバラバラなんですね。
もし1年を過ぎても連絡がなければ、こちらから電話して大丈夫です。「1年点検ってありますか?」と聞くだけ。催促のようで気が引けるかもしれませんが、聞かれて嫌がる会社はありません。
急いだほうがいい理由もあります。壁紙のはがれや建具の不具合など、細かい部分の保証を「引き渡しから1年」としている会社が少なくないんです。切れる前に見てもらうほうが得ですよね。
家の状態は四季ごとのお家のケアをまとめた記事のように、季節ごとに自分でも見ていけます。点検を待たずに気づけることも多いですよ。
2年目以降、保証はどうなっていく
1年点検が終わると、次は2年、5年、10年と続いていく会社が多いです。
法律で決まっているのは、構造の重要な部分と雨漏りに関する10年間の保証(住宅瑕疵担保責任)。ここは会社を問わず共通です。
一方で、建具や設備、内装まわりの保証期間は会社ごとに違います。契約時の保証書に書いてあるので、1年点検のタイミングで一度出してきて、「うちは何が何年なんですか」と聞いてみるといいですね。
この「保証の中身をどう見極めるか」は、これから会社を選ぶ方向けにアフターと保証の見極め方の記事で詳しくまとめています。
その先にかかってくるのが、保証ではなくメンテナンスのお金です。外壁や屋根、設備の交換。30年でメンテナンス費用がいくらかかるかをまとめた記事で具体的な金額を出しているので、1年目のうちに一度目を通しておくと、この先の見通しが立てやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 点検には立ち会ったほうがいいですか?
できれば立ち会ってください。床下や屋根裏の写真を見せながら説明できますし、「ここはこう使ってください」という話もその場でできます。何より、気になることを直接聞ける時間になります。
Q2. 点検は何時間くらいかかりますか?
家の大きさや内容によりますが、1〜2時間ほどが目安です。事前に相談事項をいただいていると、この時間の使い方が変わってきます。
Q3. 補修は無料ですか?
保証の範囲内であれば無償のことが多いです。ただし、ぶつけてできた傷や、使い方によるものは有償になります。判断が微妙なときもあるので、遠慮せず見せて相談してみてください。
Q4. 引き渡しのときに気づかなかった傷は、今から言っても遅いですか?
まず伝えてみてください。時間が経つと原因の判断が難しくなるのは事実ですが、話してみないと始まりません。1年点検は、そういう「言いそびれ」を回収する機会でもあります。
おわりに
1年点検は、悪いところを探される場ではありません。家が落ち着いてきた今の状態を一緒に確認して、小さなずれを直しておく時間です。
点検口の前を空けておく。気になることを先に伝えておく。この2つだけで、点検の中身は変わります。
そうやって早いうちに小さな調整を積み重ねた家は、10年後、20年後にかかるお金が明らかに違ってきます。長く安心して住める家は、こういう地味な積み重ねの先にあるんですよね。
次の点検の日程が決まったら、まずは点検口の前を見てみてください。そこから始めましょう。


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