建築確認申請が遅い・おりない?今の期間と対策を住宅の専門家が解説

住宅全般
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この記事でわかること

  • 建築確認申請が遅い本当の理由(全国的な審査渋滞)
  • いまの現実的なスケジュール——着工5か月前に図面確定
  • 着工遅れが響く3つの場所(賃貸・入学・住宅ローン)
  • 施主ができる防衛策と、平屋が早いという朗報

「建築確認申請を出しました」と言われてから1か月、2か月……なかなか許可が下りない。それ、あなたの家だけではありません。

いま木造2階建ての建築確認は、許可まで2〜3か月かかることが珍しくなくなっています。私は年間60〜80棟規模の新築・リフォームに関わる住宅会社で設計と営業をしていますが、これは全国的な「渋滞」で、どの会社で建てていても起きうる状況なんです。

なぜ遅いのか。施主として何ができるのか。現場から正直にお話しします。

なぜ遅い?——犯人は書類でも会社でもなく「審査渋滞」

2025年4月の法改正で、木造2階建ては「新2号建築物」という区分になり、構造や省エネの書類をそろえて審査を受ける、中身の濃い確認申請に変わりました(国土交通省の解説。改正と耐震の関係は構造計算と耐震等級3相当の記事でも書いています)。

家の安全性がきちんと確認されるようになった、良い改正です。ただ、審査する項目が格段に増えた一方で、審査機関の人員は急には増やせません。結果、審査窓口が渋滞している——これが「遅い」の正体です。地域や審査機関によって差があり、比較的スムーズなところもあるようですが、全国的には時間がかかる傾向が強い、というのが現場の肌感覚です。

実感として、時間がかかるのは提出後、1回目の指摘が返ってくるまでです。審査機関の中でチェックと是正ポイントの洗い出しが行われるのですが、ここがとにかく長い。指摘が来てからは、1〜2回の修正対応でだいたい許可が下ります。

ちなみに建築基準法では、審査期間は原則35日以内とされています。ただそれは平時の話で、いまは実態との間にギャップが生まれているんですね。

正直に言うと、ここは住宅会社の努力ではどうにもならない領域です。図面の確定から申請書類の準備までは自社の頑張りで短縮できますが、提出したあとの審査は、こちらからコントロールできません。

新しいスケジュール感——「着工5か月前に図面確定」

では、どれくらいを見込めばいいのか。当社のお客さんへの説明は、改正前後でこう変わりました。

改正前いま
図面確定から着工まで2〜3か月約5か月
間の工程申請→許可→着工申請準備→提出→許可→長期優良住宅の申請→許可→着工

全体で見ると、契約後1か月ほどで構造に関わる図面を確定できたとして、着工は契約から5〜6か月後。工期が半年ほどの会社なら、完成までトータル10〜13か月という感覚です(工期の短い会社なら、もう少し縮まります)。

「家づくりは1年がかり」と最初から知っていれば、焦らずに進められます。逆にこれを知らずに「半年後に入居したい」と動き出すと、どこかで必ず無理が出てしまうんです。

着工遅れが連鎖する3つの場所

着工のずれは、家そのものより「暮らしの段取り」に波及します。現場でよく調整するのは3つです。

1つ目は賃貸。完成が延びればその分の家賃がかかりますし、タイミングによっては更新料も重なります。

2つ目は子どもの入学・転校。工期を証明する書類や、遅れている理由を説明した書類を用意して行政に相談し、対応してもらえたケースもあります。自治体や状況によっては難しい場合もあるので必ずとは言えませんが、相談する価値はあります。1人で抱え込まず、住宅会社と一緒に動くのが大事なところです。

3つ目が住宅ローンで、私が一番注意している場所です。着工や引き渡しがずれるとローンの実行タイミングが変わり、適用される金利まで変わることがあります。土地から購入する方は、つなぎ融資の期間が延びる影響も。だから当社では、お客さんだけでなく金融機関のローン担当者にも事前に状況を説明して、三者で調整しています。

金利がいつの時点で決まるかは、ローン商品や金融機関ごとに違います。ここは大事な話なので、いずれ別の記事で詳しく書きますね。ローンの組み立て全体に不安がある方は、まず住宅ローンの全体像の記事から整理してみてください。

施主ができる防衛策は、2つ+1

1つ目は、完成予定に2〜3か月の余裕を持たせること。アパートの更新も、お子さんの予定も、職場への報告も、余裕があるだけですべて「焦らない話」に変わります。

2つ目は、図面を早く確定して、構造に関わる変更をしないこと。

注意:窓の大きさや間取りの変更は申請のやり直しになり、いまはそのやり直しに数か月かかります。「あとでちょっと変えたい」の代償が、以前よりずっと大きくなっています。

そしてもう1つ。担当者と密に連絡を取り合える関係を、施主の側からも作っておくことです。審査の進み具合はコントロールできなくても、情報がこまめに入ってくるだけで、不安の大きさはまるで違いますから。

朗報:平屋は審査が早い

同じ法改正後でも、200㎡以下の平屋は「新3号建築物」という審査の軽い区分のままです。

実際、当社の平屋は2〜3週間ほどで許可が下りています。早いものだと1週間ちょっと、かかっても4週間ほど。2階建てとの差は非常に大きいです。

もともと平屋を検討していた方には、スケジュール面の追い風ですね。平屋そのものの向き不向きは平屋で後悔する人・しない人の違いでまとめています。

よくある質問

申請中に窓や間取りを変えたくなったら?

構造に関わる変更は申請のやり直しになり、数か月単位の遅れと費用が発生します。「その変更は数か月と引き換えにする価値があるか」を担当者と冷静に相談してください。壁紙や設備の色など、構造に関係ない部分はあとから変えられることが多いです。

いつまでに、何を決めればいいですか?

構造に影響するもの——間取り・窓の位置とサイズ・吹き抜けなど——は図面確定の時点までです。契約後1か月以内を目安に固められると、その後がスムーズに進みます。

土地から購入する場合の注意はありますか?

つなぎ融資(土地代などを先に借りる仕組み)の期間が延びると、利息の負担も増えます。「着工が遅れる可能性がある」ことを、ローン担当者に早めに共有しておくのがおすすめです。

審査が遅いのは、住宅会社のせいではないのですか?

提出後の審査期間は、どの会社でもコントロールできません。見分けるポイントは「進捗を隠さず説明してくれるか」です。遅れの理由と今の状況をきちんと共有してくれる会社なら、信頼して大丈夫だと思います。

おわりに

審査が遅くなったことだけを見れば困った話ですが、一段引いて見ると、すべての家の構造と省エネがきちんとチェックされるようになった、という良い変化でもあります。

丁寧に確認された家は、住む人の財産です。だからこそ、時間を味方につけてください。

完成まで約1年。最初からそう見込んで、余裕のあるスケジュールで進める。それだけで、家づくりの不安のかなりの部分は消えますよ。

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