「完成見学会に、お家をお貸しいただけませんか」——住宅会社からこう頼まれて、少し迷っていませんか。
結論から言うと、受けるかどうかは謝礼の金額ではなく、「その会社の開催のやり方」で決めるのがおすすめです。
私は地域の住宅会社で営業責任者と設計を兼任しながら、年間60〜80棟の家づくりに関わってきました。見学会では、施主さんにお願いする側に立ってきた人間です。今回は依頼する側の実情——謝礼の中身から、断ったらどうなるかまで——を正直にお伝えします。
この記事でわかること
- 謝礼の相場と、会社によって金額差が大きい理由
- 傷・防犯への不安に対する、会社側の対策の実際
- 受ける前に確認したいこと7つ
- 断ったら関係が悪くなるのか——依頼する側の本音
なぜ会社は、あなたの家を借りたいのか
理由はシンプルで、実際のお客様の家は、モデルハウスより宣伝効果が高いからです。
展示場はお金をかけた「演出」ですが、あなたの家は等身大の実例。これから建てる人にとって、リアルな広さ・仕様・価格感が伝わる最高の教材なんですね。
会社にとって見学会は、広告宣伝活動そのものです。チラシやWeb広告に使うはずのお金の一部が施主さんへの謝礼に回っている——そう考えると、遠慮なく受け取っていい性質のお金だと分かると思います。
謝礼の実情——相場と、会社でバラバラな理由
謝礼は会社によって本当に幅があります。商品券数千円のところもあれば、現金で数万円、値引きで対応するところまでさまざまです。
参考までに、私の会社では期間に応じたお礼金の形にしています。
- 土日1回(実質2〜3日):2〜3万円程度
- 土日2回(9日間ほど):5万円前後
- それ以上:1週ごとに2〜3万円を追加
- 仮住まいが必要になる場合は、家賃などを別途補填
ここで、少し裏話を。
謝礼の金額差が大きいのには、各社の事情が絡んでいます。なかには、見学会の謝礼を「大幅値引き」に見せて契約の駆け引きに使う会社や、見学できる物件を確保できずに高めの金額を提示する会社もあるんです。
謝礼と値引きは、分けて考える
契約前に「見学会をやってもらえれば大きく値引きします」という話が出たら、それは謝礼ではなく営業トークの一部かもしれません。見学会の謝礼と契約の値引きは、本来別のものです。
受けるメリットは、謝礼だけじゃない
意外に思われるかもしれませんが、施主さんが一番喜ぶのは、謝礼より「感想のフィードバック」だったりします。
私の会社では、見学会で出た来場者の感想を施主さんにお伝えしています。こだわった造作収納や空間の広がり、照明計画——「あの収納の工夫、皆さん感心していましたよ」とお伝えしたときの嬉しそうな顔は、こちらまで嬉しくなるものです。
考えてみれば当然ですよね。何か月も打ち合わせを重ねてこだわり抜いた家が、他の人にどう見えるのか。その答え合わせができる機会は、見学会くらいしかありません。
傷・防犯は大丈夫?——不安への正直な答え
とはいえ、大切な新居に他人が入るわけですから、不安はあって当然です。会社側が実際にやっている対策をお話しします。
傷・汚れについて
傷のリスクが高い場所を中心に、開催前に養生をします。誠実な会社なら「万一のリスクへの備えも謝礼に含まれています」という説明があるはずです。
防犯について
ここが一番大事なところです。完全予約制で、スタッフの同行案内があるかどうか——これで防犯リスクは大きく変わります。
不特定多数が自由に出入りする方式だと、家の中を細かく把握されてしまう心配が残ります。完全予約制・同行案内なら誰がいつ来たか記録に残るうえ、一組ずつじっくり案内できるので来場者の満足度も高い。防犯と開催効果、両方の面で優れたやり方なんです。
ご近所・その他
駐車場所の確保や近隣への案内をきちんとやるかも、会社の丁寧さが出るところです。電気代や開催後の清掃をどちらが持つかは、事前に確認しておきましょう。
受ける前に、会社へ確認したいこと7つ
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 完全予約制か | 「自由見学ですか?予約制ですか?」 |
| 同行案内はあるか | 「スタッフは常に付きますか?」 |
| 養生の範囲 | 「どこまで養生してもらえますか?」 |
| 期間と謝礼の内訳 | 「期間と謝礼の計算方法を教えてください」 |
| 傷ができたときの対応 | 「万一の際は、誰がどう直しますか?」 |
| 引き渡し・入居への影響 | 「開催で引き渡しは遅れませんか?」 |
| 清掃・原状回復 | 「終了後のクリーニングはどちら持ちですか?」 |
この7つにスラスラ答えられる会社なら開催に慣れていて、トラブルの可能性はかなり低いと思います。
断っても大丈夫?
大丈夫です。まともな会社なら、断ったことで関係が悪くなることはありません。
私の会社の体感では、お願いした施主さんの8割くらいは「工期やタイミングが合えばOK」と言ってくださいます。でも、ご事情があって断られることも当然あって、それで何かが変わることはないです。無理にお願いして開催しても、揉め事のリスクが増えるだけですから。
逆に言うと、金額を釣り上げて強引に迫ってくる会社は、それ自体が注意サインです。施主の気持ちより自社の都合を優先する姿勢が、そこに出ています。
よくある質問
Q. 契約前に「見学会をやってくれたら値引きします」と言われました。
A. 値引きの根拠を確認してください。見学会の謝礼と契約の値引きは、本来別のものです。「見学会をやらない場合の金額」を先に聞いておくと、本当の値引き額が見えてきますよ。
Q. どんな家が選ばれるんですか?いつ頃声がかかる?
A. 駐車場所が確保できて、工程に余裕がある物件が中心です。声かけは契約前後から建築中までさまざまで、施主さんの側から「うちは見学会やらないんですか?」と聞いていただくことも、実は半分くらいあります。
Q. 引き渡し前と後、どちらでやるものですか?
A. 完成から引き渡しまでの間が一般的です。入居時期がずれる場合は、仮住まい費用の扱いを必ず確認してください。
Q. 家具や荷物はどうなりますか?
A. 入居前の開催なら家具搬入前なので心配いりません。荷物の一部を運び込んでいる場合は、貴重品の管理と「立ち入らない部屋」の設定を相談しましょう。
おわりに
見学会の依頼は、あなたの家が「人に見せたいほど良い家に仕上がった」というサインでもあります。
受けるなら、金額ではなく開催のやり方で判断してください。完全予約制か、同行案内か、養生と万一の備えがあるか。それが整った会社なら、謝礼をいただきながら自分の家の感想まで聞ける、良い機会になります。
これから見学会に「行く側」になる方は、案内する側の本音でまとめた完成見学会で見るべきポイントもあわせてどうぞ。
迷っている方の判断材料になれば嬉しいです。


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