耐震等級3相当は要注意?構造計算の必要性を住宅の専門家が解説

耐震
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この記事でわかること

  • 壁量計算と許容応力度計算の違い(簡易チェックとフルコース)
  • 2025年法改正で本当に変わったこと・変わっていないこと
  • 「耐震等級3相当」の落とし穴と地震保険割引の関係
  • 契約前に聞きたい3つの質問

実は日本の木造2階建て住宅の多くは、詳細な構造計算をせずに建てられてきました。そしてそれは、違法ではありません。

……と聞くと、驚きますよね。私は年間60〜80棟規模の新築・リフォームに関わる住宅会社で設計と営業をしていますが、この事実を知って不安になったお客さんから、何度も質問を受けてきました。

2025年4月の法改正で「構造計算が義務化された」という記事も見かけるようになり、ますます混乱しやすくなっています。実務でこの改正を通ってきた立場から、正確なところをお話しします。

読み終わるころには、検討中の会社に何を聞けばいいか、質問の言葉まで手に入るはずです。

構造計算には「簡易チェック」と「フルコース」がある

まず言葉の整理から。家の強さを確かめる方法は、大きく2つあります。

1つは壁量計算。地震や風に耐えるための壁が、家の大きさに対して足りているかを確認する方法です。健康診断のように、決められた項目をチェックするイメージですね。

もう1つは許容応力度計算。柱・梁・基礎といった部材の一本一本に、どれだけの力がかかるかを検証していく方法です。こちらは人間ドックのような精密検査で、一般に「構造計算」と呼ばれるのはこちらを指すことが多いです。

壁量計算許容応力度計算
イメージ健康診断人間ドック
確認する内容耐力壁の量・バランス柱・梁・基礎を部材ごとに検証
木造2階建てでの扱い法律上はこちらでOK任意(費用が別途かかる)

木造2階建ての場合、法律上は壁量計算などの簡易な方法で建てられます。「多くの家が構造計算されていない」の正体はこれで、壁量計算はされているけれど、精密検査まではしていない、という意味なんです。

ちなみに当社は全棟で長期優良住宅の認定を取っていて、壁量計算が標準。プランの状況によって許容応力度計算も行う、という体制です。

2025年の法改正——「義務化」という言葉の誤解

「2025年から構造計算が義務化」という表現、半分正しくて半分誤解です。

変わったのは主に2つ。1つは、壁量計算の基準そのものが厳しくなったこと。どれくらいかというと、新しい基準の等級2でも、長期優良住宅の耐震基準を満たすとされるほどです。等級3を取る難易度は確かに上がりましたが、丁寧に設計すればほぼ取得できるというのが現場の実感で、きちんとした会社なら心配いりません。

もう1つが、施主さんへの影響が実は大きい話。「4号特例」という建築確認の特例が廃止されたことです(詳しくは国土交通省の解説ページにまとまっています)。

木造2階建ては法改正後「新2号建築物」という区分になり、構造や省エネの書類をそろえて審査を受けることになりました。家の安全性が確認される良い改正なのですが、副作用として、建築確認の許可までの時間が大きく延びています。改正前は1〜2週間ほどだったものが、いま2階建てでは2〜3か月かかることも珍しくありません。

「耐震等級3相当」という言葉に気をつけて

ここからが、この記事でいちばん伝えたいことです。

住宅会社に耐震性を聞くと、「耐震等級3相当です」という答えが返ってくることがあります。この「相当」、聞き流さないでください。

住宅性能評価という公的なチェックを受けていれば、等級は第三者のお墨付きで明らかになります。長期優良住宅を取る会社も同じで、審査があるので等級はごまかしようがありません。

一方「相当」は、「自社の計算上は等級3です」という意味で使われていることが多いんです。計算書を出力して渡してもらえるなら信頼できますが、そうでなければ証拠がありません。

注意:地震保険の耐震等級割引(等級3なら保険料50%引き)を受けるには、住宅性能評価書などの公的な書類が必要です。「等級3相当」では、この割引が受けられません。

割引率の詳細は日本損害保険協会の解説にあります。耐震等級の仕組みそのものは、以前耐震等級の考え方の記事で整理しているので、等級1・2・3の違いから知りたい方はこちらからどうぞ。

構造をきちんと考えると、間取りの自由は減る?

正直に言うと、影響はあります。

耐震性を確保するには耐力壁や筋交いが必要なので、「この窓はこれ以上大きくできません」「吹き抜けはここまでです」という場面が実際にあるんです。大空間の家を求める場合ほど、制約は出やすくなります。

空間を優先して等級3が難しいときは、制震ダンパーなどで補強して安心材料にする、という考え方もあるんです。付けるべき人・付けなくていい人の判断は、制震ダンパーは必要か?自宅に付けた判断で詳しくお話ししています。

ここで大事なのは、制約を説明してくれる会社は、ちゃんと計算している会社だということ。何でも「できますよ」の方が、むしろ心配なんですね。

費用はどれくらい上がるのか

許容応力度計算まで行う場合、私の現場感覚では10〜20万円ほど余分にかかるイメージです(会社や地域、プランで変わります)。

計算の工数が増えるためで、決して安くはありません。ただ、家全体の価格から見れば1%前後。地震保険の割引や、何より「数十年住む家の構造に根拠がある」ことを考えると、検討する価値は十分あると思っています。

契約前に聞きたい、3つの質問

最後に、検討中の会社への質問をまとめます。営業責任者としての本音を言うと、この3つを聞かれたら「わかっているお客さんだな」と背筋が伸びます。

質問①「耐震等級はいくつになりますか?」

「3相当です」と返ってきたら、性能評価を取っていないサインです。その場合は「計算書は見せていただけますか?」まで聞いてみてください。性能評価を取る会社なら、計算書は評価書に添付されるものなので、堂々と求めていい書類です。

質問②「住宅性能評価や長期優良住宅は取れますか?」

取れる会社なら等級は公的に明確になります。費用はかかりますが、その分の安心と実利(保険割引・税制優遇)が付いてきます。

質問③「許容応力度計算までお願いできますか?」

費用がかかる前提で対応できる会社は、耐震への意識が十分高いと考えていいと思います。

いい会社の見つけ方そのものに悩んでいる方は、住宅会社の選び方の記事で全体の進め方を整理しています。質問リストと合わせて使ってみてください。

よくある質問

平屋でも構造計算は必要ですか?

平屋は構造的に有利な形ですが、壁量などのチェックが不要という意味ではありません。なお200㎡以下の平屋は法改正後も審査が簡略な区分です。平屋を検討中の方は、平屋で後悔する人・しない人の違いで構造以外の注意点もまとめています。

構造計算していない今までの家は危険なのですか?

壁量計算などの基準を守って建てられていれば、即危険ということではありません。ただ「どれくらい余裕があるか」は分からないので、心配な場合は耐震診断という方法があります。

あとから窓や間取りを変えたら、計算はやり直しですか?

構造に関わる変更(窓の大きさ・耐力壁の位置など)は、やり直しになります。法改正後は確認申請のやり直しに時間もかかるので、間取りは契約前にじっくり固めるのがおすすめです。

長期優良住宅にすれば耐震等級は確実ですか?

第三者の審査を通るので、等級は明確になります。地震保険割引の書類としても使えるので、「相当」問題をまるごと回避できる選択肢の1つです。

おわりに

「構造計算していますか?」という質問は、実は家の強さだけでなく、会社の姿勢まで見える質問です。

計算書を見せてくれるか。制約を正直に説明してくれるか。費用を明示して選択肢をくれるか。どれも、長く付き合える会社かどうかのサインなんですね。

これから会社を探す方は、今日の3つの質問をメモして商談に持って行ってください。「相当」という言葉の向こう側を確かめるだけで、あなたの家づくりは一段確かなものになりますよ。

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