家の中で、最も面積が大きく、最も家の印象を左右する素材はどこだと思いますか?
答えは「壁紙(クロス)」です。
床や外壁に比べると意識されにくい場所ですが、家全体を見渡してみると、視界に入るほとんどの面積が壁紙で覆われていることに気づきます。
そんな壁紙ですが——10年前後で自然に劣化していく素材だということを、ご存じない方が意外と多いんです。
今回は、家を建てる前・リフォームを考える前に知っておいてほしい、壁紙の劣化と張替え費用についてお伝えしていきますね。
■ 壁紙は”自然に”劣化していく
壁紙は、特別なことをしなくても時間とともに必ず劣化していく素材です。
主な原因は3つあります。
・紫外線:日当たりの良い場所ほど色味が変わりやすい
・空気や湿気:時間とともに少しずつ黄ばんでいく
・生活の積み重ね:キズ・汚れ・触れた跡がついていく
特に分かりやすいのが「黄ばみ」です。
新築時は真っ白だった壁紙が、5年・10年と経つうちに、なんとなく黄色っぽく見えてくる。家具を動かしたとき、その後ろの壁だけ色が新しいまま——というのは、多くの方が経験することだと思います。
これはどんなに丁寧に住んでいても避けられない、自然な経年変化です。
■ 壁紙の劣化スピードは、住み方や環境で大きく変わる
ただし、壁紙の劣化スピードは家ごとに大きく違います。
同じ年数住んでいても、ほとんど黄ばみが目立たない家もあれば、明らかに劣化が早く進んでいる家もあります。違いはどこから出てくるのか。代表的な要因を挙げてみます。
◇ペットの有無
ペットを飼っているご家庭は、毛・汚れ・においが壁紙に付着しやすく、劣化が早く進みます。猫の爪とぎなどでキズがつくことも珍しくありません。
◇結露の発生
窓まわりや外壁に面した壁では、冬場に結露が発生することがあります。結露が続くと、壁紙の裏側にカビが発生したり、壁紙のめくれが起きたりします。
◇使い方・触れる頻度
よく触れる場所、よく座る場所の近くの壁は、皮脂や汚れが付きやすいです。スイッチまわりやドアの周辺も、汚れが目立ちやすいポイントです。
◇日当たりの強さ
南向きの窓のすぐ近く、強い日差しが直接当たる壁は、紫外線で変色が早く進みます。同じ家の中でも、北側の部屋と南側の部屋で壁紙の状態が違うことはよくあります。
つまり、「家を建ててから何年で張替えが必要か」は一律には言えず、住み方や環境によって大きく変わるということです。
■ 壁紙の劣化サインと、許容できるラインの考え方
壁紙の劣化には、いくつかの代表的なサインがあります。
・黄ばみ・色味の変化
・ジョイント(継ぎ目)のめくれ・浮き
・子どものキズ・落書き・汚れ
・水まわりや結露しやすい場所のカビ
ここで大切なのは、「どこまで許容できるか」が人によって違うということです。
たとえば、キズや色褪せは「気にしなければ生活に影響しない」レベルのものがほとんどです。多少汚れていても、家として使う分には何の問題もありません。
ただし、ひとつだけ注意してほしいのが「黄ばみ」です。
キズや汚れは”部分的な傷み”として見えますが、黄ばみは家全体に均一に進むため、家そのものが古びた印象として現れてしまいます。新築時の清潔感を長く保ちたい方にとっては、ここが張替えを考えるタイミングになります。
■ 壁紙の張替え費用はどのくらいかかる?
ここからお伝えする金額は、地域・物価・業者・選ぶ壁紙のグレードによって大きく変わることを前提に、目安としてご覧ください。
【1部屋単位の張替え】
1部屋程度の張替えであれば、数万円で対応できることが多いです。
たとえば「子ども部屋だけ」「リビングの一面だけ」といった部分的な張替えなら、比較的気軽に対応できる金額です。
【家全体の張替え】
家全体を張替える場合は、面積次第で50万円以上かかることもあります。
家の広さによっては、もっと大きな金額になるケースもあります。床ほどではないにしても、家全体となるとまとまった出費になることは覚えておいてください。
■ “張りわけ”が多いほど、張替え費用は高くなりやすい
ここでひとつ、家を建てる方に知っておいてほしいことがあります。
最近は、部屋ごと・壁ごとに違う色や柄の壁紙を組み合わせる「張りわけ」のデザインが人気です。アクセントクロスとして、リビングの一面だけ濃い色にしたり、子ども部屋ごとに違う柄を使ったり——個性が出せて、楽しい家づくりになりますよね。
ただし、これには将来の張替え費用に響く側面があります。
壁紙は種類ごとに「最低発注単位」があります。少しだけ使いたい色柄でも、ある程度の量を購入する必要があるため、種類が増えれば増えるほど材料のロスが出てしまうのです。
つまり、シンプルに統一されたお家と比べて、張りわけが多い家のほうが、将来の張替えコストは大きくなりやすい傾向があります。
■ 部分張替えが難しい理由
「黄ばみが気になる場所だけ部分的に張替えたい」と考える方も多いのですが、これは実は難しいんです。
理由は、新しい壁紙と既存の壁紙の色味が合わなくなるから。
同じ品番の壁紙でも、数年経つと既存の壁紙は色が褪せています。そこに新品の壁紙を貼ると、新しい部分だけが浮いて見えてしまうのです。
そのため、張替えをする場合は「壁一面」または「部屋単位」で行うのが基本になります。これも、知らないと「もっと安く済むと思っていた」となりやすいポイントです。
■ 壁紙を選ぶときに考えておきたいこと
最後に、これから家を建てる方・リフォームを検討している方に、壁紙選びで意識してほしいポイントを3つお伝えします。
「張りわけ」は将来の張替え費用とのバランスで
デザインの楽しさはもちろん大切ですが、種類が増えるほど将来の張替え費用も増えやすいことを頭の片隅に置いてみてください。
白系・淡い色は黄ばみが目立ちやすい
清潔感のある白系の壁紙は人気ですが、その分、経年による黄ばみも目立ちやすい特徴があります。汚れが気になりにくい色を選ぶ、という選択肢もあります。
自分の許容ラインを決めておく
「多少の劣化は気にしない」のか、「常に新築のような状態を保ちたい」のか。許容ラインを決めておくと、張替え時期に慌てずに判断できます。
■ おわりに
壁紙は、家の中でもコスパよく印象を変えられる素材です。
その分、選ぶときも張り替えるときも、選択肢が多くて迷いやすい部分でもあります。
「住んでから何年でどのくらい劣化するのか」「自分はどこまで許容できるのか」「張替えにどのくらい予算を見込んでおくか」——この3つを意識しておくだけで、壁紙との付き合い方は随分とラクになります。
これから家づくりやリフォームをされる方の、参考にしていただけたら嬉しいですね。


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