漆喰の家のデメリットは本当?ひび割れ・費用・お手入れの実際と「20年後の姿」を住宅の専門家が解説

壁紙メンテナンス
本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

はじめに

「漆喰の壁って素敵だけど、ひび割れするって聞くし、値段も高いんでしょ?」

漆喰に興味を持って調べ始めると、必ずと言っていいほど「デメリット」という言葉にたどり着きますよね。実際、検索すると「ひび割れ」「費用が高い」「手入れが大変」といった言葉がたくさん出てきます。

先にお伝えすると、漆喰にデメリットは実際にあります。私は住宅の設計と営業を20年ほどやってきて、漆喰を標準的に使う家づくりに長く関わってきましたが、「漆喰は完璧な素材です」とは言いません。

ただ、そのデメリットの「実際のところ」と「どう付き合えばいいか」を知った上で、使う場所を選べば、漆喰はとても頼りになる素材なんです。

今回は、ひび割れ・費用・お手入れの現実と、検索してもなかなか出てこない「20年経った漆喰が実際どうなっているか」を、実物を見てきた立場から正直にお伝えします。

漆喰の家で実際に起きるデメリット【正直に言います】

ひび割れは「出ることがある」が正直なところです

まず一番気になるであろう、ひび割れの話から。

漆喰のひび割れには、大きく2つのパターンがあります。

1つ目は、下地の作り方が原因のケース。漆喰は下地の上に塗って仕上げる素材なので、下地をしっかり作っていない会社が施工すると、割れが出やすくなります。これは漆喰そのものというより、施工する会社側の問題です。

2つ目は、しっかり施工しても出ることがあるケース。漆喰は硬い素材なので、家の下地のわずかな動きを拾ってしまい、部屋の角の部分や、窓枠の近くなどに細いひびが出ることがあります。これは丁寧に作られた家でも起こりうることなので、「漆喰を選ぶなら、細かいひびはある程度付き合うもの」と思っておいたほうが現実的です。

補修は「1〜2年待ってから」が正解です

ここは、あまり知られていない大事なポイントです。

新築から1〜2年くらいは、木材の乾燥などで下地がわずかに動く時期なんです。この時期にひびを見つけてすぐ補修しても、下地がまだ動いているので、また同じところにひびが出てしまうことがあります。

下地の動きがおさまってくる1〜2年以降に、まとめて部分補修するのがおすすめです。漆喰を使い慣れている会社なら、このタイミングの感覚を持っているはずなので、「ひびが出たらいつ直すのがいいですか?」と聞いてみると、その会社の経験値もわかりますよ。

施工費はクロスより高めです

費用の面も正直にお伝えします。

2026年時点の一般的な相場として、ビニールクロスの施工が1㎡あたり1,000〜1,500円程度なのに対し、漆喰は1㎡あたり4,000〜8,000円程度と言われています。つまり2〜4倍ほど高いわけです(地域や業者、下地の状況によって変わります)。

理由ははっきりしていて、漆喰は左官職人さんの手仕事で、何回かに分けて塗って乾かす工程が必要だからです。クロスのように「貼って終わり」とはいかないんですね。

また、小さい面積だけを依頼すると割高になりやすいのも知っておきたいところです。職人さんの手配や材料の準備は、面積が小さくても一定の手間がかかるためです。

こすれる場所は、表面が削れます

これは住んでみてわかる弱点です。

漆喰は硬い素材ですが、同じ場所が繰り返しこすれると、表面が徐々に削れてしまいます。具体的には、こんな場所です。

  • デスクチェアや座椅子の背もたれが当たる壁
  • クローゼットの内部(服の出し入れやハンガーが当たる場所)

クローゼットの壁を漆喰にした場合、ハンガーの打撃や服の移動で削れて、白い粉が衣類についてしまうことがあります。こすれることがわかっている場所は、板張りやパネルなど、別の素材にしておくのがおすすめです。

画鋲が刺しにくい、という地味な弱点も

細かい話ですが、漆喰は硬いので、壁に画鋲を刺そうとすると結構な力が必要です。クロスの壁の感覚でポスターやカレンダーを気軽に貼り替えたい方は、ちょっとやりにくさを感じるかもしれません。

漆喰は20年後にどうなる?【15年以上の実物を見てきた答え】

さて、ここからが今回一番お伝えしたい話です。「漆喰は20年後にどうなるの?」という疑問に、実物を見てきた立場からお答えします。

15〜20年経っても、白いままです

自宅や会社の、築15年以上経った建物の漆喰を見てきた実感としては——色変わりがほぼありません

わかりやすい実例があります。漆喰の壁に絵を飾っていた家で、絵を外してみたら、影になっていた部分と周りの色が全く変わっていなかったんです。クロスの壁だと、同じ条件なら日焼けの跡がくっきり残ることが多いので、これはちょっと驚きの差です。

もっとわかりやすいのが、天井はクロス、壁は漆喰という組み合わせの家。15年以上経つと、壁は白いままなのに、天井のクロスには若干の黄ばみが出ていて、対比ではっきりわかります。

無垢の木の柱や枠は、年月とともに色が濃く深くなっていきますが、漆喰の壁と天井は白いまま。「木は育ち、壁は変わらない」——これが、年月を経た漆喰の家の姿です。

汚れは、意外と自分で対処できます

「漆喰は汚れたらどうするの?」もよく聞かれる質問です。

軽い汚れなら、消しゴムやメラミンスポンジで落とせることが多いです。それでも気になる汚れは、目の細かい紙やすりで表面を軽く研磨するという手もあります。

ただし、研磨のやりすぎには注意してください。削りすぎると下塗りの層が出てきてしまうので、「どうしても気になる汚れだけ、軽く」が基本です。

「面単位の塗り直し」が目立たないのが、漆喰の強みです

そして、これが漆喰のメンテナンスで一番お伝えしたい長所です。

部屋の壁を4面と考えたとき、そのうち1面に汚れや傷が集中してしまったとします。その場合、その1面だけを塗り直しても、他の3面とほとんど色の差が出ないんです。元の壁も白いまま劣化していないので、新しく塗った白とそろうんですね。

クロスの場合、1面だけ張り替えると、周りの黄ばんだクロスとの差で「そこだけ新しい」のが目立ってしまいます。だから「結局全面張り替え」になりがちなんです。この違いは、長く住むほど効いてきます。

漆喰とクロス、場所でどう使い分ける?【プロの本音】

「じゃあ全部漆喰にすればいいの?」というと、そうでもありません。20年家づくりに関わってきた本音としての使い分けをお伝えします。

脱衣室・洗面所は、むしろ漆喰が強いです

「水まわりに塗り壁って大丈夫?」と心配される方が多いのですが、実は逆なんです。

漆喰は強アルカリ性(pH12以上と言われます)の素材で、カビの多くはこの環境では繁殖しにくいとされています。さらに表面に無数の小さな穴があり、湿気を吸ったり吐いたりする調湿の働きもあります(※絶対にカビないという意味ではありません)。

実際の現場でも、差を感じる場所があります。脱衣室のタオル掛けの、タオルの裏側の壁。ここはクロスだとカビが発生しているのをよく見かける場所なんですが、漆喰の壁ではほぼ起きていません。湿気がこもりやすい脱衣室・洗面所こそ、漆喰が向いている場所だと思います。

トイレは「ご家庭による」が本音です

トイレの壁には、消臭効果が高いと言われる漆喰も確かに良い選択肢です。

ただ、正直な話をすると——男性やお子さん(男の子)が立って用を足すご家庭の場合、壁に汚れが飛んでしまい、漆喰だと拭き掃除がしにくいんです。そういうご家庭は、拭きやすいパネルなどの仕上げのほうが現実的だと思います。

柄を楽しみたい場所は、クロスで良いと思います

子供部屋を可愛くしたい、アクセントになる柄を入れたい——そんな場所は、クロスを選んで良いと思います。漆喰は基本的に白の無地ですから、デザインの楽しさではクロスに分があります。

クロスは張り替えると周りとの差が目立つ素材なので、逆に言えば「いずれ張り替えて雰囲気を変える前提の場所」にこそ向いています。子供部屋なら、成長に合わせて張り替えるのも楽しみのひとつですよね。

こすれる場所は、別素材で守る

先ほどお伝えした通り、椅子の背もたれが当たる壁やクローゼットの中は、板張りやパネルなどの素材を検討してください。「適材適所」こそ、漆喰と上手に付き合う一番のコツです。

漆喰で後悔しないための会社選び

最後に、漆喰を採用するなら一番大事な話です。

漆喰を塗れる左官職人さんが減っているのは事実です。だからこそ、どの会社に頼むかで、仕上がりも費用も大きく変わります。

おすすめは、漆喰を標準仕様(またはそれに近い形)で常に使っている工務店です。年間30〜40棟、あるいは50棟以上の規模感で漆喰の家を建てている会社なら、職人さんに年間を通して相当な量を依頼しているので、1棟あたりのコストパフォーマンスが良くなる傾向があります。

逆に、普段クロスばかりの会社に「漆喰でお願いします」と特注すると、割高になったり、下地の作り方の経験が浅くてひび割れリスクが上がったり、ということが起こりえます。

見極めるポイントは2つです。

  • 「漆喰は標準仕様ですか?年間どのくらい施工していますか?」と聞いてみる
  • 見積もりが「漆喰◯◯㎡ × 単価」と数量できちんと書かれているか確認する(「内装工事一式」とまとめてしまう会社より、ずっと信頼できます)

会社選び全般の考え方は、長持ちを最優先にした住宅会社の選び方と見極め方を解説した記事で詳しくお伝えしているので、よければそちらも参考にしてください。

おわりに

漆喰のデメリットは、確かにあります。ひびは出ることがあるし、初期費用はクロスより高いし、こすれる場所には向きません。

でも、15年、20年経った漆喰の壁が白いままで、汚れたら1面だけ塗り直せばいい——この「張り替えなくていい強さ」は、長く住む家にとって大きな価値だと私は思っています。

クロスにはクロスの良さがあります。大事なのは「全部漆喰」でも「漆喰はやめておく」でもなく、場所ごとに適材適所で使い分けること。そして、漆喰を使い慣れた会社に頼むことです。

内装の長持ちという視点では、無垢床で後悔する人・しない人の違いの話や、壁紙の黄ばみと張替え費用の話家のメンテナンス費用が30年でいくらかかるかの話も書いていますので、あわせて読んでいただけると、家の中の素材選びの全体像がつながると思います。

さらに、漆喰を含めた「張り替えない内装」全体の考え方は、無垢床・漆喰・木製建具で20年後もきれいな家にする方法をまとめた記事で整理しています。家全体の内装方針を考えるときの地図として使ってください。

これから家づくりやリフォームをされる方の参考になれば嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました