家を建てるとき、床材を選ぶ場面はとても楽しい時間ですよね。
リビングの床は明るい木目に。水まわりは掃除しやすそうな素材に。床の色やデザインで部屋の雰囲気が大きく変わるので、こだわって選ばれる方が多いと思います。
ですが、ここでも住宅設備や外壁の話と同じことが起こるんです。
「住んでから10〜20年経つと、床も必ず劣化してくる」
これは、どんなに高級な床材を選んでも避けられない現実です。今回は、家を建てる前・リフォームを考える前に知っておいてほしい「床材の劣化と張替えコスト」についてお伝えしていきますね。
床は、家の中で最も酷使される場所
床は、家の中でも特に消耗の激しい場所です。
毎日家族全員が歩き、家具を置き、椅子を引き、ものを落とす。さらに、キッチンや洗面、トイレなどでは水もかかってしまいます。
これだけ毎日酷使されているのに、床材を「メンテナンスが必要なもの」として意識している方は意外と少ないんです。
家電や住宅設備と同じように、床材にも寿命があります。そしてその寿命は、種類によって大きく変わってきます。
よく使われている3つの床材と、それぞれの劣化パターン
新築住宅やリフォームでよく使われる代表的な3つの床材について、それぞれの劣化の特徴をお伝えします。
【フローリング(最も一般的)】
新築住宅で最も多く使われているのがフローリングです。
現在主流の「複合フローリング」は、合板の下地に薄い化粧シートや突板を貼った構造になっています。木の質感を楽しめる定番の床材ですね。
ただし、長く住んでいると次のような劣化が見られます。
・表面の化粧層が経年で剥離してくる
・家具を置いていた場所のへこみ・キズが目立ってくる
・水まわりでは継ぎ目から水が浸入し、内部から傷みやすい
特に「表面層の剥離」は、お子さんがいるご家庭では遊んでいるうちに進行することもあり、気づいたらフローリングの一部がペラっと浮いていた…ということが起きます。そうなってくると、修繕では難しいことも多く、多くの場合は張替えとなります。
【クッションフロア(シートタイプ)】
クッションフロアは、塩化ビニル系のシート状の床材です。柔らかく、水に強いので、洗面・トイレ・脱衣室などの水まわりでよく使われています。
費用も比較的おさえやすく、選ばれることの多い床材ですが、劣化のサインも独特です。
・表面の摩耗で柄や色が薄くなる
・シートの隅や継ぎ目がめくれてくる
・水まわりで使うとシート際に湿気がたまり、カビが発生する
特に水まわりでのカビ発生は、見た目の問題だけでなく衛生面でも気になるところです。「最近トイレの床のフチが黒ずんできた」と感じたら、それはシート際にカビが発生しているサインかもしれません。
【フロアタイル】
フロアタイルは、塩化ビニル製の硬めの床材を、小さなタイル状のピースで組み合わせて貼っていくタイプです。
クッションフロアより硬く耐久性も高いので、土足で使う商業施設などでも使われている床材です。最近は住宅でも採用されることが増えてきました。
メリットは、ピース単位で張替えができること。傷んだ部分だけを部分的に交換できるので、メンテナンス性に優れています。
ただし、注意点もあります。
・タイルとタイルの目地に汚れがたまりやすい
・経年で表面の摩耗が出てくる
・部分張替えのとき、同じ色柄の商品が廃番になっていることがある
色柄が廃番になっていると、部分張替えのつもりが「結局周辺も全部張替え」になることもあります。
こうなってしまうと、思った以上に高額な費用がかかってしまいます。
張替え費用はどのくらいかかる?
床の張替えは、家の中でも面積が大きい工事になるため、思った以上にまとまった費用が発生します。
ここからお伝えする金額は、地域・物価・業者・床材の種類で大きく変わることを前提に、目安としてご覧ください。
【フローリング(全面張替え)】
フローリングの全面張替えは、50万円以上、場合によっては100万円を超えるケースもあります。
これは家の広さや、選ぶフローリングの種類で大きく変わります。一般的なグレードの複合フローリングと、無垢材や高級仕様のフローリングでは、材料費の段階で大きく差が出るからです。
加えて、張替え工事には家具の移動・既存床の撤去処分・下地の補修も含まれます。広い面積になればなるほど、これらの費用も積み上がっていきます。
【クッションフロア(1部屋単位)の場合】
クッションフロアの張替えは、1部屋単位なら数万円から対応できることが多いです。
トイレ1室、洗面脱衣室1室など、面積が限定されていればフローリングより張替えのハードルは低めです。
ただし、ここで覚えておいてほしいことがあります。
クッションフロアの張替えタイミングは、家を建ててから10年以上先になることがほとんどです。
つまり、今の感覚で「数万円なら大丈夫」と思っていても、10年後・20年後の物価で考えると、当然金額は変わってきます。これは床材だけの話ではなく、すべての設備・建材に言えることですが、未来の物価まで含めて見積もっておくという視点も大切です。
床材を選ぶときに考えておきたいこと
最後に、これから家を建てる方・リフォームを検討している方に、床材選びで意識してほしいポイントを3つお伝えします。
「見た目」だけで決めない
床材選びはついデザインや色味で決めてしまいがちですが、10年後・20年後にどう劣化するのか、どんな張替えが必要になるのかまで考えて選んでみてください。
水まわりの床材は特に慎重に
水まわりは床材が一番劣化しやすい場所です。素材選びを間違えると、想定より早くカビや傷みが発生することもあります。掃除のしやすさ、耐水性、長期的なメンテナンス性を意識して選んでください。
面積が大きい=張替え費用も大きい
床は壁紙などに比べて面積が大きい分、張替え費用も大きくなりやすい設備です。今回お伝えした3つの床材以外にも、もっとメンテナンス性が高い床材もあります。長期的な目線で素材を比較してみてくださいね。
おわりに
床材は、家のなかで最も毎日使われている場所です。
だからこそ、選ぶときには「住んでからの長い時間」を一緒にイメージしてみてください。
「家を建てる費用」だけでなく「住んでからの費用」も含めて考える視点は、外壁・屋根・住宅設備、そして床材まで、すべてに共通する大切な考え方です。
これから家づくりやリフォームをされる方の、参考にしていただけたら嬉しいです。


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