家の長持ちについて考えるとき、外壁や屋根、設備の話はよく目にすると思います。
でも、家の「足元」——基礎やシロアリ対策の話を、しっかり考えている方は意外と少ないんです。
実はここ、長持ちする家を考えるうえでもっとも重要なポイントのひとつでもあります。一度シロアリ被害が広がると、家の構造そのものが蝕まれて、大規模な修繕が必要になることもあるからです。
今回は、家の足元を守るための「基礎・防蟻処理・点検のしやすさ」という3つの視点について、お伝えしていきますね。
シロアリは、家の寿命を一気に縮める存在
木造住宅にとって、シロアリは見えないところで構造を蝕む最大の天敵です。
家の柱や土台にシロアリが入り込み、気づいたときには木材がスカスカ……というケースは、今でも珍しくありません。
そうなってしまうと、床や柱の補修だけでは済まず、家全体の構造に関わる大規模な修繕が必要になることもあるんです。
だからこそ、新築時には「防蟻処理」という工程が必ず入ります。家の土台や柱に、シロアリを寄せつけない処理をするわけですね。
ところが、この防蟻処理にも、知っておきたい大切なポイントがあります。
一般的な「農薬系防蟻処理」のリアル
多くの住宅会社が標準仕様として採用しているのは、農薬系の防蟻処理剤です。
これ自体は効果がある処理なのですが、ひとつ大きな特徴があります。
5年または10年ごとに、再処理が必要ということです。
そして、その1回あたりの費用が30万円以上かかることが多いんです。
新築時に処理されているから安心、ではなく、住んでいる間ずっと、定期的にこの費用がかかり続ける——という構造になっています。
しかも、住宅メーカーからは「再処理しないとシロアリ保証が切れます」という伝え方をされることが多いので、なかなか断りづらいんですよね。
30年住むことを考えると、防蟻処理だけで100万円規模の出費になります。
(5年に1回防蟻処理をする場合は、30年で200万円近くかかることになるかも、、、)
これは、家を建てるときにはほとんど意識されない数字です。
“ホウ酸系”防蟻処理という選択肢を知っていますか?
実は、防蟻処理剤にはホウ酸系という選択肢もあります。
日本ではまだ採用が少ないのですが、海外では一般的に使われている処理剤です。特徴を簡単にお伝えすると——
・床下浸水などにあわない限り、効果が長く持続するタイプもある
・揮発性が低いため、効果が落ちにくい
・初期費用は農薬系より少し高めだが、再処理コストがほぼかからない
私の感覚では、初期費用としては農薬系より10〜20万円程度高くなるくらいのイメージです。
ただし、5年ごと・10年ごとに30万円以上の再処理が不要になることを考えると、長期的にはトータルコストで大きくおトクになる選択肢です。
「家を建てるときの初期費用」だけで判断してしまうと見えてこないのですが、30年単位で考えれば、ホウ酸系を選んだほうが結果的に安く済むケースが多い——ということを、ぜひ知っておいてほしいです。ただ、普段取り扱っていない住宅会社だと、対応してくれない可能性もあるので、その場合は次の基礎構造で少しでも対策をしたいところです。
基礎構造でも、シロアリリスクは大きく変わる
防蟻処理と並んで、家の足元を守るうえで大切なのが基礎構造です。
家の基礎には、大きく分けて2つのタイプがあります。
【布基礎】
布基礎は、家の外周や柱の下にだけコンクリートを打つ工法です。
コストは抑えやすいのですが、床下の地面がそのまま土のままになります。これにはいくつかのデメリットがあるんです。
・床下に湿気がたまりやすい
・湿気でカビが発生しやすい
・シロアリも、土の中から家に侵入しやすい
つまり、布基礎は「シロアリにとって入りやすい家」になりやすいんですね。
【ベタ基礎】
ベタ基礎は、家の床下全体をコンクリートで覆う工法です。
布基礎よりコストは高くなりますが、その分メリットも大きいです。
・床下全体がコンクリートで覆われているため、シロアリの侵入リスクを大幅に減らせる
・床下に湿気が上がりにくく、家全体の長持ちに貢献する
・カビの発生リスクも下がる
最近の新築住宅ではベタ基礎が増えていますが、コスト重視で布基礎を選ぶケースもまだまだあります。長持ちという視点からは、私はベタ基礎をおすすめしています。
長持ちする家の足元、3点セット
ここまでお伝えしてきた話を整理すると、家の足元を守るための答えはシンプルです。
①基礎構造でシロアリの侵入を抑える(ベタ基礎の採用)
侵入そのものを物理的に難しくする。これが第一の防御線です。
②長く効く防蟻処理剤を選ぶ(ホウ酸系などの選択肢)
定期的な再処理に何十万円もかけ続けなくていい仕組みにしておく。これが第二の防御線です。
③床下を点検しやすい構造にしておく
万が一何かあったとき、床下にもぐって点検しやすい構造にしておくことも大切です。点検口の位置や床下の高さによって、点検のしやすさは大きく変わってきます。潜りやすい床下構造を意識して設計してもらうと、長く付き合っていけるお家になります。
この3つを組み合わせることで、「定期的に高額な防蟻処理を続けないと家がもたない」という状態を避けられるのです。
これは、以前の記事でお伝えした「住んでからメンテナンスにお金をかけられない可能性」にもつながる話です。10年後・20年後の生活がどうなっているかは誰にも分かりません。だからこそ、メンテナンスにお金をかけられなくても、家が長持ちしやすい仕組みを最初に作っておくことがとても大切なんです。
住宅メーカー選定時に、聞いてほしいこと
ここまで読んでくださった方は、もう感じているかもしれません。
家の足元は、住んでから自分で変えることがほとんどできません。だからこそ、家を建てる前のメーカー選定の段階で確認しておくことが、何より大切です。
具体的には、こんな質問をしてみてください。
・「ベタ基礎は標準ですか?」
・「ホウ酸系の防蟻処理は選べますか?」
・「床下を点検しやすい設計になっていますか?」
これらの質問に対して、丁寧に説明してくれて、相談に乗ってくれるメーカーは、長持ちする家づくりを真剣に考えている会社である可能性が高いです。もちろん、住みながら掛かる可能性のある防蟻処理の費用についてはしっかりと聞くことも忘れないでほしいです。
逆に、「うちは標準でこれを使っているので」と、他の選択肢の説明をしてくれない会社は、慎重に検討したほうがいいかもしれませんね。
おわりに
家の足元は、外からは見えにくい場所です。
でも、ここがしっかりしているかどうかで、家の寿命は何十年も変わってきます。
「初期費用を少しかけて、将来の大きな出費を減らす」
これは、家のあらゆる部分に共通する考え方ですが、特に基礎・防蟻処理・点検のしやすさは、住んでから後悔しても変えられない部分だからこそ、最初の選択がとても大切です。
これから家を建てる方は、ぜひベタ基礎・ホウ酸系防蟻処理・点検しやすい床下という3つのキーワードを、メーカー選定の段階で確認してみてください。
長く安心して暮らせる家づくりの、参考になれば嬉しいです。


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