新築にシャッター(雨戸)は必要か?「標準なし」で設計している住宅の専門家が判断基準を解説

ドア、窓
本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

新築にシャッターは必要か。私の会社の標準仕様は、実は「シャッターなし」からのスタートです。

それでも、ご相談の結果つける方はいます。分かれ目になるのは「なんとなく不安だから」ではなく、「この窓には理由がある」と言えるかどうかなんです。

最近の建売や注文住宅で、シャッターのない家を見て「えっ、なくて大丈夫なの?」と気になった方も多いと思います。この記事では、なぜ標準なしでやっているのか、それでもつける価値がある窓はどこか、現場の実例と一緒にお話ししますね。

この記事でわかること

  • 今の新築にシャッターがない家が多い理由
  • シャッターが本当に仕事をする場面(台風の飛来物・雹)と現場の実例
  • 「全部つける/やめる」ではない、窓ごと・立地ごとの判断基準と費用相場

なぜ最近の新築には、シャッターがない家が多いのか

お客様から「シャッターはいらない気がするんですが」と相談されたとき、私が実際にしている説明をそのまま書きます。

昔の雨戸は、窓を守る必需品でした。木製の窓枠に1枚ガラスの時代は、台風の雨風がまともに窓を攻めてきたからです。

でも今の新築の窓は、サッシもガラスも別物です。雨風だけなら、シャッターなしで受け止められるだけの性能があります。「雨戸がないと心配」という前提そのものが、窓の進化で崩れたんですね。

そこにコストの話が重なります。全部の窓につければ数十万円の追加。だからシャッターは「必ずつける設備」から「理由があれば選ぶ設備」に変わりました。

それでも、シャッターが仕事をする瞬間

正直に言うと、台風のあとに「シャッターがなかったせいでガラスが割れた」というはっきりした被害の差は、私の現場ではあまり聞いたことがありません。ただ、強風で窓がガタつく音や、台風の夜の安心感という意味では、閉められる家との差はあると思います。

そして、雹(ひょう)の話は別でした。

以前、この地域に大きめの雹が降ったことがあります。そのとき、軒の短い家でも「シャッターを閉めていた窓はガラスが割れずに済んだ」という話を聞きました。雹は上から降ってくるので、屋根や庇でかわせない窓には直撃します。ガラスの弱点を突いてくるんです。

つまりシャッターの本当の仕事は、雨風をしのぐことではなく、「飛んでくるもの・落ちてくるもの」からガラスを守ること。台風の飛来物と、雹。この2つが現代のシャッターの主戦場です。

ちなみに雹でガラスや雨樋が壊れた場合、火災保険の「雹災」の補償対象になることが多いです。もし今まさに被害が出ているなら、雹で壊れやすい場所と保険申請の流れをまとめた記事から読んでみてください。保険が使える場面と使えない場面の全体像は、火災保険が降りないケースをまとめた記事で詳しく書いています。

あとは防犯と防音ですね。シャッターの閉まった家は空き巣にとって手間のかかる家ですし、幹線道路沿いの寝室では音を和らげる効果もあります。

軒とシャッターの、意外な関係

その雹の日、私の会社で建てた家は、よその家に比べると窓の被害は相当少なかったようです。理由のひとつは、軒の長さだと思っています。

うちの家は軒を90cm以上伸ばしている家が多いんです。軒が深いと、上から降ってくる雹や斜めからの飛来物が、窓に直撃しにくくなります。「窓を守る」手段は、シャッターだけではないんですね。軒の話はこのブログで何度も書いている得意分野なので、よければそちらもどうぞ。

ただ、無傷だったわけではありません。風が強く吹き付けた面では、1階の窓枠の一部にダメージが出た事例がありました。2階の窓は軒のすぐ下で守られやすい一方、横なぐりの雹は1階の窓まで届くことがある。軒の出を伸ばした暮らしの変化を書いた記事とあわせて、軒は万能ではなく「守りの土台」と考えてもらうのが正確です。

逆に言うと、デザイン優先で軒がほとんどない家は、窓がむき出しです。そういう家ほど、シャッターの価値は上がります。シャッター単体ではなく、家全体の設計とセットで考える話なんです。

つけた人・つけなかった人の、その後

うちで相談の上シャッターをつけた方は、理由を持って選んでいるので、比較的満足されています。

ただ、後日談として聞く声も正直にお伝えします。手動シャッターは「思ったより開け閉めが大変」という声をたまに聞きます。毎朝毎晩のことなので、窓の数が多いと確かにひと仕事です。

電動は快適ですが、故障して修理した実例があります。それから、年数がたつと動作音が大きくなってくるケースもあります。モーターで動く以上、これはある程度仕方のない部分だと思っています。

電動シャッターも「いつか壊れる設備」の仲間だということは、つける前に知っておいてほしいところです。導入時の快適さと、10年後の修理費。両方をセットで考えるのが、長く住む家との付き合い方です。

窓ごと・立地ごとの判断基準

だから私は、「全部つけるか、やめるか」の二択にしないでください、とお伝えしています。お客様と相談するときの考え方はこうです。

まず立地。まわりに飛来物の出やすそうな環境(畑や資材置き場、古い建物、強い風の通り道)があるなら、危ない方位の窓は検討の価値ありです。

次に窓の種類。大きな掃き出し窓は、割れたときの被害も交換費用も大きいので、優先度が上がります。逆に小さな窓や、軒・庇にしっかり守られた窓は、なしでいいことがほとんどです。

そして目的。防犯が気になる死角の窓、音を抑えたい寝室の窓。「この窓に、この理由」と言えるなら、つける価値があります。

チェックポイントつける価値が上がる条件
立地飛来物が出やすい環境・強い風や雹が吹き付ける方位
窓の種類大きな掃き出し窓・軒や庇に守られていない窓
家の形軒がほとんどないデザインの家
目的防犯が気になる死角・音を抑えたい寝室

費用の目安は、後付けだと手動で1窓10〜21万円、電動で19〜35万円。2階は足場代が6〜8万円ほど別にかかることもあります(2026年時点。サイズ・地域で変動します)。新築時にまとめてつけるほうが安く済むことが多いので、「迷うから後で」より、新築の打ち合わせで方針を決めておくのがおすすめです。

よくある質問

Q. シャッターなしの家に台風が来たら、どう備えればいい?

一番効くのは、庭やベランダの飛ばされそうな物を片付けることです。自分の家の物が、我が家と近所の窓への凶器になります。そのうえでカーテンを閉めておくと、万一割れたときのガラス飛散を減らせます。

Q. 防犯のために閉めっぱなしにするのはあり?

昼間も閉めっぱなしだと、かえって留守が丸わかりになる面があります。採光や風通しも失うので、閉めっぱなし前提なら、その窓は本当に必要かから考え直すのもありです。

Q. あとから後付けできますか?

ほとんどの窓で可能です。ただ2階は足場代がかかり、新築時より割高になりがちです。電動を将来つけるか迷っている場合は、新築時に電源の配線だけ用意しておく、という手もあります。

Q. 電動シャッターは停電のとき開かなくなりませんか?

手動で開けられる切り替え機構のついた製品が多いです。ただ操作方法を知らないと停電時に慌てるので、購入時に確認して、一度練習しておくと安心です。

おわりに

シャッターは「つけないと危ない設備」ではなく、「理由があればつける設備」になりました。

私の会社の標準が「なし」スタートなのは、窓の性能と軒の設計で、守りの土台を先に作っているからです。そのうえで、立地・方位・窓の種類に理由が見つかれば、その窓にだけつける。お金のかけどころがはっきりして、後悔しにくい選び方だと思います。

台風や雹への備えは、シャッター1つで決まるものではなく、家全体の総合戦です。災害に強い家の考え方をまとめた記事とあわせて読んでもらえると、備えの全体像がつながるはずです。

あなたの家で一番危ない窓はどこか。風の強い日に外を歩きながら、我が家の窓を眺めてみてください。「この窓にはつける理由がある」が見つかったら、それが答えです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました