家づくりを始めて何社か話を聞きにいくと、こんな経験をされる方が多いと思います。
「同じくらいの大きさで、間取りも似ているのに、A社とB社で数百万円も違う…いったいどっちが正しいの?」と。
正直、最初は戸惑いますよね。でも、価格の差にはちゃんと理由があるんです。そして大事なのは、「高いからぼったくり」でも「安いからお得」でもない、ということ。
この点は本当に難しいところで、適切な価格の商品や素材を使っているか、職人さんに適切な作業費用を支払っているか、等によっても家の品質は大きく違ってきてしまいます。
今回は、この住宅価格の”中身”をやさしく分解して、価格の数字に惑わされずに判断する目を持ち帰っていただくことを目指していきますね。
そもそも住宅の価格は「家そのもの」だけの値段ではないんです
最初に、ひとつ前提を共有させてください。
多くの方は、住宅の価格を「建材の費用+工事の費用」だとイメージされます。もちろんそれが土台なのですが、実際の価格には、それ以外のいろいろな費用も含まれています。
たとえば、住宅会社によっては、立派な展示場の費用、テレビCMの費用、会社の利益、保証の備え…。こうしたものが、最終的に一棟あたりの価格に少しずつ乗ってきます。
「同じような家なのに価格が違う」のは、この”家そのもの以外”の部分が、会社によって大きく違うからなんです。
では、具体的にどんな要因で差が生まれるのか。5つに分けて見ていきましょう。
価格差を生む「5つの要因」を分解してみましょう
① 広告宣伝費・モデルハウスの維持費
大きな展示場や、テレビ・ネットの広告。これらにはお金がかかります。そして、その費用は最終的に家の価格に少しずつ含まれていきます。
展示場はもちろんですが、メディア広告や広範囲に撒くチラシ等は想像以上に高額となります。
立派なモデルハウスは見ていて楽しいですし、安心感にもつながります。ただ、その維持費は誰かが負担しているわけで、それが価格に反映されているという面は知っておくといいですね。
② 中間マージン(誰が間に入るか)
家を建てるには、たくさんの職人さんや業者さんが関わります。このとき、間に入る会社が多い(下請け構造が深い)ほど、それぞれの手数料が積み重なって価格が上がりやすいんです。
特に大手や中堅メーカー等の一定規模のハウスメーカーは自社で直接職人さんに発注せず、施工会社が間に入る分、その手数料が価格に乗ってきます。規模や仕組みによっては、数百万円単位の差につながることもあります。
一方で、地域の工務店のように自社で直接職人さんに発注する形だと、中間のコストが抑えられることがあります。会社のタイプごとの違いは、以前まとめた住宅会社の選び方(大手・中堅・工務店・設計事務所の違い)の記事でも詳しくお話ししていますので、あわせて読んでみてくださいね。
③ 「標準仕様」のグレードの違いと見積に含まれる項目の差
ここが、実はいちばん見落とされがちなポイントです。
同じ「標準仕様」という言葉でも、その中身(断熱材・サッシ・キッチン・床材などのグレード)は会社によって全然違うんですね。A社の標準とB社の標準が同じ中身とは限らない。だから、価格だけを並べても本当は比較になっていないことがあるんです。
また、見積に関しても含まれる項目が住宅メーカーごとに違う事が多く、建築のための申請費用や照明、設計や検査費用等、含む含まないが分かれます。
一見【安く見えても実は高かった】なんてことが十分あり得るので、ここはしっかり確認しておきたいところですね。
④ 保証・アフターサービスの体制
引き渡したあとの定期点検や、長期保証。これらを手厚くするほど、会社側もそれなりに備えのコストをかけています。
「住んでから」を大事にするなら、ここはむしろ価格に含まれていてほしい部分でもありますよね。安さの裏で、この体制が薄くなっていないかは見ておきたいところです。住んでからは予期せぬトラブルが起きやすいので、要チェック項目です。(この保証の違いは、また別の記事で詳しく整理しますね)
⑤ 会社の利益の取り方・ブランド料
最後に、会社ごとの利益の乗せ方や、ブランドへの対価という面もあります。
これは一概に悪いことではありません。大きな会社の「安心感」や「実績」に価値を感じる方にとっては、納得できる対価とも言えます。要は、その差額に自分が納得できるかどうかなんですね。
だからといって、高すぎると感じる住宅も存在しているので、支払いに無理のない計画が大事になりますね。
大事なのは「安い」にも「高い」にも理由がある、と考えること
ここまで見てきたように、価格差にはちゃんと背景があります。だからこそ、数字の大小だけで判断しないことが大切です。
たとえば「安い」場合——
- 効率化や直接施工でコストを抑えているなら、納得できる安さですよね
- 標準仕様のグレードが低かったり、あとから追加費用がたくさん出てくる前提だと注意が必要
- 住んでからのアフター対応が少なく、トラブル時が心配
「高い」場合も同じです——
- 広告費や立派な展示場の維持費が乗っているだけなのか
- それとも、本当に中身(仕様・性能・保証)が良いのか
- アフター対応まで含めて、手厚い体制になっているのか
この「なぜその価格なのか」を一度分解してみるだけで、判断の軸がぐっと定まってきます。
価格に惑わされないための行動指針
では、実際に読者のみなさんが使えるかたちにしておきますね。ポイントは、価格の”内訳”と”標準仕様の中身”を、セットで確認することです。
打ち合わせのときは、こんな質問が役に立ちますよ。
- 「この価格に含まれているもの、別途になるものを教えてください」
- 「標準仕様は、どのくらいのグレードですか?」
- 「保証やアフターは、どこまで含まれていますか?」
- 「可能な限り見積に含まれている項目を一覧で見せてほしい」
そして、本体価格だけでなく、契約や登記にかかるお金も忘れずに。これらをまとめた”総額”で見ることが大切です。意外と見落としがちな費用については、住宅ローンの諸費用をやさしく整理した記事でくわしくお伝えしているので、よければあわせてご覧くださいね。見かけの安さに引っ張られにくくなりますよ。
次の記事へ:では、会社のタイプごとにどう違う?
ここまで「価格差がどこから生まれるか」を分解してきました。
実はこの”会社の仕組みの違い”は、大手ハウスメーカー・中堅・地域の工務店といったタイプによって、表れ方がかなり変わってきます。それぞれにどんな特徴があって、どんな人に向いているのか——タイプ別の具体的な見方は、別の記事で詳しく見ていきますね。
おわりに
住宅の価格は、つい数字の大小だけで「高い・安い」を判断したくなりますよね。でも、「なぜその価格なのか」を一度分解してみると、会社選びの軸が驚くほど定まってきます。
一社だけで判断せず、価格と中身のバランスを見極めるための情報収集が大事になりますね。
高いか安いかに振り回されるのではなく、その差額に自分たちが納得できるかどうか。そんなふうに見ていただくと、後悔の少ない会社選びにつながると思います。家は大きな買い物だからこそ、価格の”中身”にも、少しだけ目を向けてみてくださいね。
これから家づくり・リフォームをされる方の参考になれば嬉しいです。


コメント