先日の雹、大丈夫でしたか。屋根やカーポートを見上げて「これ、直すとしたらいくらかかるんだろう…」と不安になっている方もいると思います。
先に結論をお伝えすると、雹の被害は火災保険で直せる可能性が高いんです。しかも火災保険は、自動車保険と違って使っても保険料が上がりません。
ただ、雹の被害は「どこが壊れやすいか」「どう動くと申請がスムーズか」を知らないと、もらえるはずの保険金を逃してしまうことがあります。年間70棟ほどの新築・リフォームに関わる中で見てきた実例をもとに、住宅の専門家として順番にお話ししますね。
この記事でわかること
- 雹で壊れやすい場所と修理費の相場感
- 火災保険で補償される条件と、見落としやすい注意点
- 申請の流れと、スムーズに進めるコツ
- 雹のあとに来る訪問業者への対処
雹が壊す場所は決まっています
雹の被害相談で多いのは、屋根・雨樋・窓まわりの3か所です。
屋根で印象的だったのは、ガルバリウム鋼板の屋根が凹んだケース。金属屋根は軽くて丈夫なんですが、大粒の雹が当たると表面に凹みが残ることがあるんです。
雨樋は樹脂製が多いので、割れやすい代表格です。ただ地上からは見えにくく、被害に気づかないまま放置されがちな場所でもあります。
窓は、ガラスそのものより窓枠が割れたという相談を聞いています。ガラスばかり気にして、枠の傷を見落とすケースがあるんですね。
そして意外な盲点が、屋根のかかっていない場所です。
私が見た中では、屋根なしのウッドデッキが大粒の雹で大きく傷ついて、火災保険がおりた例がありました。「デッキも保険の対象になるの?」と驚かれる方が多いんですが、建物に固定されたデッキは補償の対象に含まれることが多いんです。
カーポートも同じです。雪害でカーポートの保険金が出た例を実際に見ているので、同じ補償範囲である雹も対象になります。屋根材のポリカーボネート板は雹に割られやすいので、必ず確認してください。
それから給湯器。屋外に置く設備なので、雹が直撃してカバーが凹むことがあります。保険金がおりるかは契約と被害の程度次第ですが、ダメージがあるなら相談だけでもしてみる価値はあると思います。
雹のあとにチェックする場所
屋根/雨樋/窓ガラス・窓枠/カーポート/ウッドデッキ/給湯器・エアコン室外機
修理費の相場感もお伝えしておきます。雨樋の部分補修なら数万円で済むこともありますが、屋根の被害が広くて足場が必要になると、100万円を超えるケースもあります。割れたり凹んだりした面積次第で大きく変わるので、だからこそ保険の出番なんです。
| 場所 | 起きやすい被害 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 屋根 | 金属屋根の凹み・スレートの割れ | 足場込みの広範囲だと100万円超も |
| 雨樋 | 樹脂部分の割れ | 部分補修なら数万円〜 |
| 窓まわり | ガラスより窓枠の割れに注意 | 被害範囲による |
| カーポート | ポリカ屋根材の割れ | パネル交換は枚数による |
| ウッドデッキ | 天板の傷・凹み | 被害範囲による(保険実例あり) |
| 給湯器 | カバーの凹み | まず保険会社へ相談を |
雹の被害は火災保険の対象になります
火災保険には「風災・雹(ひょう)災・雪災」という補償がセットになっていることが多く、これが雹被害をカバーしてくれます。台風の風で壊れたときと同じ枠組みですね。
台風や水害も含めた災害への備え全体は、災害に強い家の考え方をまとめた記事でお話ししています。
ただし、注意点が3つあります。
1つ目は、経年劣化は対象外ということ。もともと古くなって傷んでいた部分は「雹のせい」と認められません。ここの線引きは保険会社の鑑定で決まります。
2つ目は、契約によっては「損害が20万円未満だと1円も出ない」タイプがあること。少し前の契約に多い方式です。最近の契約は「自己負担額(免責金額)を引いた分が出る」方式が主流ですが、ご自身の契約がどちらかは保険証券で確認できます。
3つ目は、申請の期限が3年ということ。法律で決まっているので、それを過ぎると請求できなくなります。逆に言えば「あの時の雹かも」という被害に後から気づいても、3年以内なら申請できるんです。
ここで確認
保険証券で見るのは「風災・雹災・雪災の有無」と「自己負担額の方式」の2か所だけです。
もし証券を見て「雹災が入っていなかった」「自己負担額が大きすぎた」という場合は、契約の見直しどきかもしれません。今の補償内容のまま各社の保険料を並べて比べられるサービスもあります。
補償の見直しは、被害が出る前が一番落ち着いて考えられます。無料で複数社をまとめて比較できるので、証券とあわせて眺めてみてください。
申請の流れと、スムーズに進めるコツ
申請の流れはシンプルで、①保険会社へ連絡→②修理業者の現地確認・写真・見積もり→③保険会社へ提出、という順番です。
コツは2つあります。
まず、とにかく写真です。被害に気づいたら、片付けたり応急処置をしたりする前に、スマホで撮っておいてください。屋根の上は危ないので無理せず、地上から撮れる範囲と、雨樋やデッキの傷のアップがあれば十分です。
次に、早く動くこと。実は雹って、保険会社にとって「確認しやすい災害」なんです。いつどこに降ったかが気象の記録に残っていることが多いので、被害との因果関係を説明しやすい。時間を置かず申請するほど、話が早く進みます。
1つだけ知っておいてほしいのは、大きな雹が広範囲に降ったときは、申請が一気に集中するということ。保険会社も修理業者も問い合わせが殺到して、普段より対応に時間がかかることがあります。「連絡したのに1〜2週間音沙汰がない」となっても慌てなくて大丈夫です。むしろ混み合うからこそ、早めに列に並んでおく意味があるんですね。
「保険金で無料で直せます」の訪問業者には注意
雹が降った地域には、そのあと決まって営業の訪問が増えます。「お宅の屋根、雹でやられてますよ。保険を使えば無料で直せます」という手口です。
全部が悪質とは言いませんが、国民生活センターにはこの種のトラブル相談が毎年寄せられています。高額な手数料を取られたり、解約すると違約金を請求されたりするケースがあるんです。
覚えておいてほしいのは、保険の申請に代行業者は必要ないということ。この記事で書いたとおり、契約者本人が保険会社に電話1本すれば始められる手続きです。
その場で契約せず、地元の業者や建てた会社にも声をかけて、見積もりを比べてから決めてください。断るときの具体的な言い方は外壁塗装の訪問販売の断り方の記事にまとめてあり、雹のあとの訪問にもそのまま使える内容です。
雹に強い家にするには(設計側の視点)
最後に、建てる側の人間として「そもそも被害を減らす家」の話も少しだけ。
雹は真上からだけでなく、風に乗って斜めに降ってきます。だから軒の出がしっかりある家は、窓や外壁への直撃がかなり減るんです。
窓については、シャッターが最強の守りです。雹が降った地域で、軒の短い家でもシャッターを閉めていた窓だけは無事だった例を実際に見ています。シャッターを付けるかどうか迷っている方は、新築にシャッター(雨戸)は必要かを考えた記事が判断の材料になると思います。
カーポートやデッキのような「屋根の外」の設備は、正直、完全には守れません。だからこそ、火災保険の補償範囲に入っているかを建てるときに確認しておく。これが一番現実的な備えだと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. 雹で車が傷ついた場合も火災保険ですか?
車は火災保険ではなく、自動車保険の車両保険の範囲です。カーポートは建物側なので火災保険、その下の車は自動車保険、と分かれます。
Q2. 火災保険を使うと、保険料は上がりませんか?
上がりません。自動車保険のような等級制度が火災保険にはないので、使ったことを理由に保険料が上がることはないんです。ためらわずに申請してください。
Q3. 小さな凹みでも申請していいのでしょうか?
かまいません。ただし契約によっては損害20万円未満だと出ない方式があるので、まず写真を撮って保険会社に相談するのが確実です。凹み1つに見えても、業者が見ると雨樋や板金にも被害が見つかることはよくあります。
Q4. 数年前の雹の被害に今気づきました。もう遅いですか?
被害から3年以内なら申請できます。ただ時間が経つほど経年劣化との区別がつきにくくなるので、気づいたら早めに動いてください。
おわりに
雹は、地震や台風に比べると「まさかうちが」と思いやすい災害です。でも屋根・雨樋・カーポート・デッキと、屋外のものは全部さらされています。
被害に気づいたら、写真を撮って保険会社へ連絡。使っても保険料は上がらない。この2つだけ覚えて帰ってもらえたら、この記事の役目は果たせたと思います。
火災保険は、家を長持ちさせるための道具の1つです。せっかく毎年払っているものですから、いざという時にきちんと使って、長く安心して暮らせる家を守っていきましょう。
もし「そもそもうちの契約、雹災入ってたかな…」と不安になった方は、この機会に保険証券を一度開いてみてくださいね。


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