PR

断熱は”最高性能”より”バランス”|長持ちする家のための断熱の考え方のヒント

断熱

家づくりの中でも、特に意見が分かれやすいのが断熱の話です。

「どのレベルの断熱がいい」「この工法がいい」——SNSや住宅系の情報では、断熱性能の数値や等級をめぐる議論が盛んに行われています。

ただ、今回はそうした「どれが正解か」という話ではなく、「長持ちする家のための断熱」という視点でお伝えしていきたいと思います。

断熱は、快適さや光熱費の話だけでなく、家そのものの寿命に直結する大切な要素でもあります。今回はその視点を中心に、間取りとの組み合わせも含めてヒントをお伝えしていきますね。

断熱は「家の寿命」にも関わる

断熱というと、まず「冬暖かく、夏涼しい家」というイメージが浮かぶ方が多いと思います。もちろんそれも大切ですが、断熱には実はもうひとつ、見落とされがちな大きな役割があります。

それが、壁の中の結露を防ぐという役割です。

【壁内結露が家の寿命を縮める】

家の壁の中では、見えないところで結露が発生することがあります。これを「壁内結露」といいます。

特に、

・断熱性能が不十分だったり
・断熱材の施工に隙間ができてしまっている

——こうした状況では、壁の中のその部分に結露が発生しやすくなるんです。

壁内結露が長期間続くと、

・構造の木材が湿気を吸って傷む
・木材が腐食して耐久性が落ちる
・カビが発生し、シロアリの被害につながる
・断熱材自体も湿気で機能が落ちる

——という、家の寿命に直結する深刻な問題が起こります。

つまり断熱は、「快適に暮らすため」だけでなく、「家そのものを長持ちさせるため」にも必要不可欠な要素なんですね。

だからこそ、断熱は「ある程度高いレベル」を目指したい

最低限の基準を満たしている、というレベルだけでは、長持ちする家としては少し心もとないところがあります。

理由は、

・結露リスクを下げる
・ヒートショックを予防する
・冷暖房コストを長期で減らす
・家の中の温度差を減らして、生活ストレスを軽くする

——どの観点から見ても、ある程度高いレベルの断熱性能はほしいからです。

ただし、”超高断熱”までいくと費用対効果は急に落ちる

ここで気をつけたいのが、「最高レベルを目指せばいい」というわけではないということです。

断熱性能は、ある一定のレベルを超えると追加コストの割に体感の差が小さくなる傾向があります。

・断熱材を厚くする
・窓を最高グレードにする
・気密性能をさらに上げる

これらを「最高」まで突き詰めると、コストは一気に跳ね上がります。ですが、住んだ時の快適さの差は、ある一定レベル以上では緩やかになっていきます。

ですので、

「最高性能」を目指すより、「バランスのよい高めのレベル」を狙う——これが、長持ちする家の現実的な選び方だと思っています。

そして、ここからが大切なのですが、断熱性能を「間取り」や「設計」と組み合わせることで、無理にコストをかけずに快適さを底上げできるんです。

間取りの工夫で、断熱効果を底上げできる

たとえば、すぐにできて効果が大きいのが玄関の区画化です。

玄関は土間があるため、構造上どうしても冷えやすい場所です。冬場、玄関ドアを開け閉めするたびに冷気が家の中に入り込んでしまいます。

ここで、玄関と居室の間に扉を設けて区画するだけで、家の中の温度が大きく改善します。特に冬場のリビングの暖まりやすさは、体感で分かるレベルで変わってきます。

「玄関にちょっとした仕切り扉をつけるだけ」——本当に小さな工夫ですが、断熱性能を底上げする効果はとても大きいです。

※断熱性能が高い家であれば、家全体が一体的に温まりやすいので、こうした区画化を細かくしなくても快適に暮らせるケースもあります。ここは、選ぶ断熱性能のレベルとの組み合わせで考えるのがおすすめです。

窓の断熱が、家全体の性能を決める

断熱を考えるときに、もうひとつ絶対に忘れてはいけないのが窓です。

実は、家の中で熱の出入りが最も大きいのは窓なんです。壁や屋根の断熱をどんなに頑張っても、窓の性能が低ければ家全体の断熱性能はそこで足を引っ張られてしまう——これが現実です。

窓の断熱性能を上げるには、

・樹脂サッシ(アルミサッシより圧倒的に断熱性能が高い)
・複層ガラスや三層ガラス
・Low-Eガラス(特殊なコーティングで熱の出入りを抑える)

といった選択肢があります。

窓は、初期コストでは少し高く感じる部分かもしれませんが、家全体の断熱性能、長期の光熱費、結露リスクのすべてに直結する重要な部分です。ここはケチらず、しっかりとした性能のものを選んでほしいところです。

軒の出と組み合わせて、年間通して快適に

以前の記事で、「軒の出」が外壁を守るうえで大切だという話をお伝えしました。

実は、軒の出は断熱とセットで考えると、さらに大きな効果を発揮するんです。

・冬は、断熱効果の補助で家の中の暖かさを保つ(屋根下に駐車すると、フロントガラスが凍らないのと同じイメージで、窓ガラスの温度低下を防ぐ)
・夏は、軒の出で強い日射が室内に入るのを防ぐ

このふたつが組み合わさってはじめて、年間を通して快適な家になります。

断熱だけ高くても、夏の強い日差しが窓から直接入ってきてしまえば、室内はどんどん暑くなってしまいます。逆に、軒の出だけしっかりあっても、冬の断熱性能が低ければ家の中は寒くなります。

「冬の対策」と「夏の対策」は、それぞれ違う設計の工夫が必要——ということを、ぜひ覚えておいてほしいです。

断熱と気密は、必ずセットで考える

最後にもうひとつ、大切な視点をお伝えします。

それは、断熱と気密はセットだということです。

どんなに高性能の断熱材を使っても、家のあちこちに隙間があると、その隙間から冷気や暖気が出入りしてしまいます。これでは、断熱性能をいくら上げても効果が薄れてしまいますよね。

ただ、気密性能に関しては、一定レベル以上あれば、こちらも十分暖かい家は実現できると思います。
気密性能を気にして施工している住宅会社のレベルであれば、問題ない可能性は高いです。

家を建てる際には、

・「断熱性能はどのくらいですか?」
・「気密性能はどのくらいですか?」

——この両方を聞いてみてください。

極端な性能数値は求める必要はありませんが、ざっくりと両方の数値レベルの概要が答えられる住宅会社であれば、両方を意識して家づくりをしていると思って良いと思います。

一定レベルをきちんと考えている家づくりができれば、長持ちする家の実現が近づくのではないでしょうか。

おわりに

断熱の話は、本当に奥が深いテーマです。

断熱等級や具体的な数値(UA値・C値など)の話は、専門的になってきて意見も分かれるところなので、今回はあえて触れませんでした。これらは別の記事で、もう少し詳しくお伝えできればと思っています。

ただ、今回お伝えしたかったのは、断熱は数値の優劣ではなく、「家の寿命を守るための仕組み」として捉えてほしいということです。

・ある程度の高いレベルの断熱性能を確保する
・超高断熱まで突き詰めず、バランスを取る
・玄関の区画化など、間取りとの組み合わせで底上げする
・窓の断熱はしっかり選ぶ
・軒の出とセットで「年間通して快適な家」にする
・断熱と気密は住宅会社の考えや取り組みをチェックして、セットで考える

これらを組み合わせることで、お金をかけすぎず、長く快適で、長持ちする家に近づきます。

これから家づくりやリフォームをされる方の、判断材料のひとつになれば嬉しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました