家を建てるとき、外壁のデザインや色は熱心に選ぶのに、屋根材については「メーカーが提案するもの」を、なんとなく選んでしまう方が多いように感じます。
ですが、屋根は外壁以上に厳しい環境にさらされ続けます。雨も日差しも、すべてを一番最初に受け止めているのが屋根です。だからこそ、選ぶ屋根材によって10年後・20年後のメンテナンス費用に大きな差が出ます。
さらに最近は、太陽光発電パネルを屋根に乗せる家が増えていて、屋根材選びの考え方も少し変わってきています。
今回は、現場で多く見かける3つの屋根材について、長く付き合っていく視点でお伝えします。
屋根材選びで多くの人が見落としていること
屋根材を選ぶとき、つい「耐久年数」のスペックだけを比べてしまいがちです。
しかし実際には、もうひとつ大切な視点があります。
それは「メンテナンスのしやすさ」です。
どれだけ耐久年数が長い素材でも、メンテナンスのときに費用がかさんだり、不具合が見えにくかったりすれば、長期的なコストは増えていきます。
加えて、もうひとつ。
太陽光発電パネルを乗せるかどうかで、選ぶべき屋根材は変わります。
この視点を持って屋根材を選んでいるかどうかで、家の長期的な付き合い方が大きく変わってきます。
主要な3つの屋根材、それぞれの特徴とメンテナンス
【陶器製の瓦(最も長持ちする選択肢)】
陶器製の瓦は、屋根材の中でもっとも耐久性が高い素材です。
色あせもしにくく、定期的な塗り替えも基本的に不要。何十年と使い続けられる、屋根材としての本命と言っていい素材です。
ただし、注意点があります。
陶器製の瓦は他の屋根材に比べて高価なので、初期コストが高くなります。
また、太陽光発電パネルを乗せる場合、瓦に穴を開けて設置する必要があります。
屋根に穴を開けるということは、それだけ雨漏りリスクの起点が増えるということです。施工がしっかりしていれば問題は起きにくいのですが、長く屋根の機能を維持したい瓦と、穴を開ける作業はあまり相性が良くありません。穴の部分をしっかりと埋めるから大丈夫と聞くこともあるかもしれませんが、埋める材料も必ず劣化するので、将来的なリスクはどうしてもあります。
太陽光発電を考えてなく、とにかく長持ちする屋根にしたい場合は、陶器製の瓦が非常に有力な選択肢となります。
スレート瓦(大手メーカー等で多く採用)
スレート瓦は、薄く加工した板状の屋根材で、初期コストを抑えやすいという特徴があります。大手ハウスメーカーをはじめ、多くの住宅会社で標準的に採用されている屋根材です。
ただし、現場でメンテナンスに入ったときに感じることは、「思った以上にヒビ割れの発生等が多い」ということです。
スレートは経年劣化で表面の塗膜が落ちると、雨水を吸い込みやすくなります。そこに、夏冬の温度差や、人が屋根に乗ったときの衝撃が加わると、ヒビ割れが発生します。
メンテナンスのたびにヒビが見つかり、補修箇所が増えていく。これがスレート瓦の長期的な悩みどころです。最終的には、屋根全体を違う素材(ガルバリウム等)で覆うカバー工法というリフォーム工事を行うことになりやすい屋根材です。
ガルバリウム鋼板(バランス型)
ガルバリウム鋼板は、金属でできた屋根材です。陶器瓦ほどの耐久性はありませんが、いくつかの優れた特徴があります。
◇ヒビ割れがない
スレートと違い、金属なのでヒビ割れの心配はありません。メンテナンスのたびに補修箇所が増えるということがありません。
◇再塗装(メンテナンス次第)で長く使える
表面の塗装が劣化したら、再塗装で機能を維持できます。点検さえしっかりできていれば、長期間使い続けることが可能です。
再塗装の目安は、私の感覚では15〜20年頃に屋根の状態をしっかりチェックして判断するのがよいと考えています。ただし、海が近い、近くに大きな木があるなどの立地条件によっては、10年を過ぎたあたりから定期的にチェックしたほうが安心です。また、使われているガルバリウムの種類によっても変わるため、一概に「何年で塗装」と断言することは難しいのが正直なところです。
◇太陽光発電と相性がよい
ガルバリウム鋼板の屋根は、太陽光パネルを乗せる際に屋根に穴を開けずに設置できる工法(引っ掛け金具など)が選べます。
これは大きなメリットです。屋根に穴を開けないことで、雨漏りリスクの起点を増やさずに太陽光発電を導入できます。ただ、太陽光発電についても、メリット・デメリットがあるので、こちらもしっかり考えたいところです。こちらは、別途記事でまとめたいと思います。
また、上記以外にも屋根材としては軽い素材になるので、太陽光発電を載せない場合でも地震に対して有利にしたい場合は、選択肢として考えてもよい材料です。
■ 太陽光発電の有無や求める「耐久性」で選ぶべき屋根は変わる
整理すると、こうなります。
太陽光発電を考えていない方 → 陶器製の瓦が最有力(ただし高額)
最も耐久性が高く、長く付き合える屋根材です。穴あけのリスクを気にする必要がなければ、瓦の良さを最大限に活かせます。初期コスト分、長期間のメンテナンスコストを考えると、十分もとがとれるのではと思います。
太陽光発電を考えている方 → ガルバリウム鋼板がバランス型
屋根に穴を開けずに太陽光を設置でき、ヒビ割れの心配もなく、再塗装で長く維持できる。耐久性は瓦に一歩譲るものの、太陽光との組み合わせを考えるとバランスのよい選択肢になります。
もちろん、一定の耐久性、メンテナンスのしやすさを考慮して、太陽光発電の有無に関係なく選択しても良いと思います。
スレート瓦は、初期コストが抑えられる分、長期的なメンテナンス負担が大きくなりやすい点を理解した上で選ぶ必要があります。こちらは、採用検討している場合は住宅メーカー担当者に聞くだけでは良いことしか言わない可能性もあるので、色々なところから情報収集をしてみてください。
補足:デザインや他のメリット・デメリットは別の話
ここまで「耐久性とメンテナンス」の視点に絞ってお話してきましたが、実際の屋根材選びには、ほかにも考慮すべき要素があります。
・屋根材の重さ(建物への負担、耐震性能との関係)
・遮音性・断熱性
・デザイン・色の選択肢
・周辺の家との景観の調和
・初期コストと予算とのバランス
これらは、それぞれの素材で得意・不得意があります。今回は「住んでから後悔しない」という視点で、耐久性とメンテナンスに絞ってお伝えしましたが、実際に選ぶときは、これら別の観点もあわせて検討する必要があります。最終的な満足度をしっかり考えてみましょう。
おわりに
屋根は、家を一番上で守ってくれる存在です。
だからこそ、屋根材選びは住宅メーカーの話を鵜呑みにせず、「実際の耐久性、太陽光発電の有無を含めた30年単位」で考えることをおすすめします。
「とりあえずメーカーの提案で」「初期費用が安いから」と決めてしまうと、10年・20年後のメンテナンスで「もっと考えておけばよかった」と後悔することがあります。
家を建てる前に、太陽光発電を将来的に検討する可能性があるかどうか。これだけでも、屋根材の選び方は大きく変わります。ぜひ、設計の早い段階で考えておいてほしいポイントです。
今後もより実態に近い情報を発信していきますね。


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