家づくりを始めると、「何社くらい見て決めればいいんだろう」「相見積もりってどう取るのが正解なんだろう」と迷いますよね。
実は、住宅の見積もりは車や家電のように、単純に「同じものを比べて安いほうを選ぶ」とはいかないんです。やり方を間違えると、比べているつもりで全然比べられていない、ということが起こります。
今回は、住宅会社で営業を担当してきた”中の人”の立場から、複数社比較の正しい進め方と落とし穴を、できるだけ本音でお話ししますね。
まず、1社だけで決めるのはやっぱり危ない
最初にお伝えすると、1社だけを見て決めるのは、やはりおすすめできません。その金額が高いのか安いのか、判断する材料がないからです。
1社だけだと、不要なオプションや過剰な仕様が含まれていても気づきにくいですし、他の会社なら叶えられた間取りや工夫を見逃してしまうこともあります。
それに、目先の価格だけで決めると、あとで困ることもあります。初期費用は安かったけれど、メンテナンスにお金がかかりやすい家で、築浅のうちからリフォームや補修の相談に来られる、というケースは実際によくあるんです(家のメンテ費用は家のメンテナンス費用を30年で整理した記事でまとめています)。
でも、家は車のように単純に比べられない
ここがいちばん大事なところです。複数社を比べるのは大事ですが、家の見積もりは「同じ条件で安いほうが得」とはいかないんですね。
理由のひとつは、会社ごとに使っている素材や仕様が大きく違うことです。そのため、「同じレベルの家なら、どのくらいの差額なのか」という比べ方が、そもそも難しいんです。
もうひとつは、見積もりに含まれている項目が、会社によってバラバラなことです。たとえば、仮設工事・空調・設計費・検査費用・造作工事などは、別途になっている会社もあれば、最初から込みで出してくれる会社もあります。
そもそも明細がほとんどない会社も少なくありません。だから、ぱっと見の総額だけでは、本当に同じ土俵で比べられていないことが多いんです。
これが怖いのは、「予算内におさまった」と思っていたのに、見積もりに入っていなかった費用が、あとから高額で出てくることがある点です。単純な金額比較は、実はとても難しいんですね。
だからこそ、「比較の軸」を揃える
では、どうすればちゃんと比べられるのか。答えはシンプルで、「比べる条件を揃える」ことです。
各社に同じ要望・同じ延床面積・同じくらいの仕様で依頼しないと、金額に差があっても「何の差なのか」がわからなくなります。要望メモや参考画像を用意して、同じものを各社に渡すのがおすすめです。
そして見積もりが出てきたら、金額の大きさではなく「何が含まれていて、何が含まれていないか」を一つずつ確認してください。仮設・空調・設計費・検査費・造作などが入っているかどうかで、総額の意味がまったく変わります。なぜ会社で価格が違うのか、その中身はなぜ会社で価格が違うのかをまとめた記事でくわしく書いています。
【中の人の本音】価格より先に、「説明の明瞭さ」を見てほしい
ここからは、営業をしてきた立場での本音です。複数社を比べるとき、価格の前にぜひ見てほしいのが、「見積もりの中身を、きちんと説明してくれる会社・担当者かどうか」なんです。
価格が違うのは当たり前の前提として、その違いがどこから来ているのかを明瞭に説明してくれるか。ここに、その会社の姿勢(スタンス)がはっきり出ます。
逆に、説明があいまいな会社だと、契約して進めていく過程で「これは別途です」という追加費用が出てきやすいんです。だから、建物や価格を比べる前に、まず「会社のスタンス」を比べてほしいと思っています。
ひとつ、実際にあった話をします。家づくりのお手伝いをしていて、それまでの情報や見積もりを見るかぎり、どう考えても同じくらいの仕様・サイズなのに、うちより1〜2割ほど高い会社の見積もりを「こっちのほうがだいぶ安い」と思い込んで、そちらに決めかけたお客さまがいました。
つまり、含まれている中身が違うのに、表面の総額だけを見て「安い」と勘違いしてしまったんですね。こういうとき、「比べるポイントをもっとちゃんとお伝えしないと」といつも感じます。この記事を書いているのも、そんな思いからなんです。
その会社が、長く住むことや将来のメンテナンスまで考えてくれているか。ここも大事な見極めポイントで、具体的に何を質問すればいいかは長く持つ家をつくるために本当に見るべきことをまとめた記事にまとめています。
本気で比べられるのは、2〜3社まで
「比較が大事なら、たくさん見たほうがいいのでは」と思いますよね。でも、ここにも落とし穴があります。
家づくりの打ち合わせは、想像以上に時間も労力もかかります。あまり多くの会社を同時に抱えると、比較疲れで判断できなくなったり、各社への対応が雑になって本気の提案を引き出せなかったりするんです。
私の感覚では、最初に資料などである程度しぼってから、本気で検討・検証できるのは2〜3社くらいが限界だと思います。やみくもに5社も6社も回るより、「ここは」と思う数社にしっかり向き合うほうが、いい家に近づきますよ。
最初の”候補しぼり”をラクにする方法
とはいえ、いきなり2〜3社にしぼるのも難しいですよね。気になる会社を自分で一社ずつ探して回るのは、かなり大変です。
そこで、最初の候補集めと絞り込みには、無料のサービスをうまく使うのもひとつの手です。実際の進め方としても、次の2段階がスムーズですよ。
何社も自分で回って比べるのは大変ですよね。中立の相談カウンターで、希望に合う会社を一緒にしぼってもらうと、最初の絞り込みがぐっとラクになります。
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こうしたサービスで候補をしぼってから、最終的に2〜3社へ同じ条件で見積もりを依頼すると、進めやすくなります。
角の立たない断り方
複数社を比べると、最後はどこか1社に決めて、他はお断りすることになります。ここで気が重くなる方も多いですよね。
コツは、最初の段階で「複数社を検討しています」と正直に伝えておくことです。そうしておけば、お断りも自然になりますし、各社も承知のうえで提案してくれます。
断るときは、「ていねいに対応いただきありがとうございました。検討の結果、今回は別の会社で進めることにしました」くらいで十分です。細かい理由を伝えすぎると、かえって引き止められて断りづらくなるので、シンプルでいいんですよ。
おわりに
注文住宅の複数社比較は、「安いほうを選ぶ」作業ではありません。含まれている中身を揃えて見比べ、そして価格の前に「会社の説明のていねいさ=姿勢」を見ることが、後悔しないいちばんの近道です。
たくさん回る必要はありません。しっかり向き合える2〜3社にしぼって、同じ条件で、中身まで比べてみてください。これから家づくりを始める方が、表面の金額に惑わされず、自分に合う会社を選べますように。この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
会社選びそのものの考え方は、住宅会社の選び方をまとめた記事にもまとめているので、あわせてどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相見積もりは何社くらいがいいですか?
本気で比べられるのは2〜3社くらいまでだと思います。2社では少なく、5社以上になると打ち合わせの労力で疲れてしまいます。最初に資料などでしぼってから、数社にしっかり向き合うのがおすすめです。
Q2. 相見積もりを取るのは、失礼になりませんか?
失礼ではありません。むしろ最初に「複数社を検討しています」と伝えておくのがマナーで、各社もそれを前提に提案してくれます。正直に伝えておくと、最後のお断りもしやすくなりますよ。
Q3. 見積もりは、結局どこを見れば比べられますか?
総額の数字ではなく、「何が含まれていて、何が別途か」を見てください。仮設・空調・設計費・検査費・造作などの含まれ方が会社で違うので、そこを揃えて確認するのがコツです。説明がていねいかどうかも、大事な判断材料になります。


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