注文住宅の「つなぎ融資」と「分割融資」の違い|ネット銀行を選ぶ前に知っておきたいことを住宅の専門家が解説

住宅ローン
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注文住宅で家を建てるとき、多くの方が途中でつまずくのが「完成前に払うお金、どうするの?」という問題です。

住宅ローンは基本的に、家が完成してから実行されます。でも実際には、土地代・着工金・中間金と、完成前に何度もまとまった支払いが発生するんですね。

この間の資金をどう手当てするか。ここで出てくるのが「つなぎ融資」と「分割融資」です。

言葉は聞いたことがあっても、違いまで説明できる方は少ないと思います。しかもこの2つのどちらが使えるかは、選ぶ銀行によって決まる。だから銀行選びの段階で知っておかないと、あとで慌てることになるんです。

年間70棟ほどの家づくりに関わる中で、お客さんに説明していることを整理してお伝えしますね。

この記事でわかること

  • つなぎ融資と分割融資の違い
  • どちらが得なのか(家計によって答えが変わります)
  • ネット銀行を選ぶときの注意点
  • 事前審査に通っても安心できない理由

まず、なぜ「つなぎ」が必要になるのか

注文住宅のお金の流れを、ざっくり並べてみます。

土地から購入する方なら、まず土地の代金。それから工事が始まるときに着工金、工事の途中で中間金、そして完成後に最終金。会社によって回数は違いますが、だいたい3〜4回に分けて支払うことになります。

一方で住宅ローンは、完成して引き渡しを受けたあとに実行されるのが基本です。担保になる建物が、まだ存在していませんからね。

つまり、完成までの支払いには住宅ローンが間に合わない。ここに数千万円の空白ができるわけです。

手持ち資金で全部払えるなら問題ありません。でも多くの方はそうではないので、何らかの形でこの空白を埋める必要が出てきます。その方法が2つある、という話なんです。

つなぎ融資と分割融資は、何が違うのか

ざっくり言うと、「別のローンを一時的に借りる」のがつなぎ融資、「住宅ローン自体を小分けにする」のが分割融資です。

つなぎ融資分割融資
仕組み住宅ローンとは別の短期の借入住宅ローンそのものを数回に分けて実行
完成時住宅ローンでまとめて返済残りを実行して完了
抵当権の設定完成後早い段階で設定することが多い
書類の量やや多くなりがち
扱える銀行対応する銀行は比較的多い銀行による(地方銀行に多い印象)

どちらも、融資を受けるたびに手続きが必要です。ここは共通しています。

流れとしては、まず住宅ローン全体の審査に通る(本承認)。そのうえで、つなぎ融資なり分割融資なりの手続きに進みます。1回借りて終わりではなく、支払いのタイミングごとに書類を出していく形ですね。

分割融資のほうが少し書類が多くなりやすいのは、早い段階で抵当権を設定することが多いからです。手間としては、そのぶん増えます。

お金の面での違いは、ここに出ます

手続きの話より、こちらのほうが気になりますよね。

つなぎ融資は、金利が銀行によって大きく違います。

借りる予定の住宅ローンと同じくらいの金利で貸してくれるところもあれば、3〜3.5%前後というところもあります(2026年時点)。これは住宅ローンの金利と比べるとかなり高い水準です。

期間は数ヶ月なので総額としては大きくなりませんが、それでも金利が3%を超えるかどうかで数万円〜十数万円の差は出てきます。事務手数料も別途かかって、こちらは数万円程度のことが多いですね。

一方の分割融資には、知っておくと得な仕組みがあります。

分割融資では、実行された分について「返済をスタートする」か「利息だけ払う」かを選べる場合があるんです。

ここで返済をスタートできる家計なら、実質的につなぎ融資の利息がかからないのと同じことになります。住宅ローンの低い金利で借りて、その返済がちょっと早く始まるだけ、という形になるので。

ここが判断のポイント
完成前から返済が始まっても家計が回る方なら、分割融資のほうが有利になりやすいです。逆に、家賃と二重払いになるのが厳しい方は、利息だけ払う形やつなぎ融資のほうが現実的かもしれません。

金利や手数料の細かい違いは、住宅ローンの諸費用は結局いくらかかるかの記事とあわせて見ると全体像がつかめると思います。

ネット銀行を選ぶときは、ここに注意

さて、ここからが本題かもしれません。

ネット銀行の住宅ローンは金利が低くて魅力的です。ただ、注文住宅との相性という点では、少し慎重に考えたほうがいいと私は思っています。

理由は3つあります。

1つ目は、中間資金に対応していないところがあること。注文住宅特有の「完成前の支払い」に、そもそも商品として対応していない銀行があります。

2つ目は、別でつなぎ融資を組んでも、思ったより高くつくことがあること。金利の低さで選んだのに、つなぎの金利と手数料を足したら差が縮んでしまった、というのはよくある話です。

3つ目は、「土地から購入する方」には特に難しい選択肢になること。土地代・着工金・中間金と、完成前に借りる回数が多くなるほど、この問題は重くのしかかってきます。

逆に言えば、土地をすでに持っていて、中間資金を手持ちで払えて、最終金だけを借りるという形なら、ネット銀行は使いやすい選択肢です。建売やマンションのように「完成した物件を買う」ケースとも相性がいいはずですね。

事前審査に通っても、安心はできません

これは特にお伝えしておきたい話です。

ネット銀行では、土地や建物の担保評価が本審査の段階で行われることが多いと言われています。事前審査で見ているのは主に申込者の返済能力で、物件そのものの詳しい評価は後回しになるんですね。

その結果として、事前審査は通っていたのに本審査で通らなかった、というケースがあります。私も実際にそういう話を聞いたことがありますし、金融の解説記事でも同じ指摘を目にします。

これが怖いのは、タイミングです。

事前審査に通った時点で、多くの方は「ローンは大丈夫」と思って土地の契約を進め、間取りの打ち合わせに入ります。そこから本審査で否決されると、スケジュールが根本から崩れてしまうんです。

だから、こうしてください
ネット銀行を希望する場合でも、他の銀行を並行して準備しておいてください。本審査が通ったらネット銀行を使う、通らなければもう一方で進める。この二段構えにしておくと、万一のときに家づくりが止まりません。

審査で見られている項目そのものについては、住宅ローンの審査の仕組みをまとめた記事で詳しく整理しています。

それでもネット銀行を使いたい方へ

ここまで注意点を並べましたが、ネット銀行が悪いという話ではありません。条件が合えば、金利の低さは確実にメリットです。

私が「向いている」とお伝えするのは、この2つのどちらかに当てはまる方です。

1つ目は、中間資金を手持ちで払えて、最終金だけ借りる方。この形なら、つなぎ融資の問題そのものが発生しません。

2つ目は、手続きの面倒を引き受けてでも使いたい方。ただしこの場合は、諸費用を隅々まで調べたうえで判断してください。金利差と諸費用を並べてみたら、思ったほど得にならなかった、というケースもありますから。

実は、どうしても使いたいという方のために、こんな方法を取ったこともあります。つなぎ融資を専門に扱っている金融機関が少数ながらあるので、そちらと組み合わせるという形です。手続きは正直、それなりに大変でした。でも選択肢としては存在します。

それ以外の場合、特に土地から購入する流れの方は、無理にネット銀行にこだわらないほうがいいというのが私の実感です。

銀行に聞いておくべき4つの質問

契約前に、これだけは確認しておいてください。

「つなぎ融資か分割融資、どちらに対応していますか?」
「つなぎ融資の金利と手数料は、それぞれいくらですか?」
「分割融資の場合、実行分から返済が始まりますか? 利息だけの選択はできますか?」
「担保評価はどの段階で行われますか?」

4つ目は、この記事を読んだ方だけの質問かもしれません。ここに明確に答えられる担当者なら、信頼していいと思います。

そして、これらの条件は銀行によって本当にバラバラです。金利の数字だけを並べて比べても、自分の家づくりに合うかどうかは分かりません。

年収や借入希望から、通りやすくて条件の良い銀行を提案してもらえるサービスです。複数の選択肢を並べて眺めたい段階の方に向いています。先ほどお話しした「二段構えで準備する」ときにも、候補を広げる助けになりますよ。

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金利がいつの時点で決まるのかという話は、住宅ローンの金利はいつ決まるのかの記事にまとめました。融資の実行タイミングと直結する話なので、あわせて読んでおくと理解が早いと思います。

よくある質問(FAQ)

Q1. つなぎ融資を使わずに済む方法はありますか?

中間資金を手持ちで払えるなら不要です。また、分割融資に対応した銀行を選ぶ、あるいは住宅会社によっては支払い回数を調整してくれることもあります。まず住宅会社に「支払いのタイミングはどうなりますか」と聞いてみてください。

Q2. つなぎ融資の利息は、いつ払うのですか?

完成時に住宅ローンでまとめて精算する形が多いですが、期間中に払う方式もあります。ここも銀行によって違うので、見積もりの段階で確認しておくと安心です。

Q3. 分割融資とつなぎ融資、住宅ローン控除に違いはありますか?

制度の細かい適用条件は年度によって変わることがあるので、税務署か税理士に確認してください。ここは私が断定できる領域ではないので、正直にお伝えしておきます。

Q4. 事前審査は複数の銀行に出していいのですか?

問題ありません。むしろこの記事で書いたとおり、並行して準備しておくほうが安全です。ただし本審査を同時に何本も進めるのは避けたほうがいいので、そこは担当者と相談しながら進めてください。

おわりに

つなぎ融資と分割融資。どちらが正解ということはなくて、家計の状況と、選ぶ銀行で決まる話です。

大事なのは、この2つがあることを知ったうえで銀行を選ぶこと。金利の数字だけを見て決めてしまうと、あとから「うちの家づくりには合わなかった」となりかねません。

そして、事前審査に通ったからといって気を抜かないこと。特にネット銀行を考えている方は、もう一つの選択肢を横に置いたまま進めてください。それが一番の保険になります。

家づくりは、お金の段取りが整っていると本当に進めやすくなります。次の打ち合わせで「うちの支払いは何回に分かれますか?」と聞いてみてください。そこから逆算すると、必要な準備が見えてきますよ。

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