住宅ローンを申し込むとき、「今の金利で借りられる」と思っていませんか。
実はここ、多くの方が誤解しているところなんです。申し込んだときの金利ではなく、お金が実際に振り込まれるとき(融資実行時)の金利が適用されます。
申し込みから、その融資実行まで。注文住宅だと、数ヶ月あくこともあります。その間に金利が動けば、借りるときの金利も変わるんですね。
最近は金利が上がってきている局面なので、なおさら知っておいてほしい話です。年間70棟ほどの家づくりに関わる中で、お客さんに説明していることを順番にお話ししますね。
この記事でわかること
- 金利が決まるのは「申込時」ではなく「融資実行時」
- その実行のタイミングが、銀行によって違うこと
- 土地から買う人が特に気をつけたいこと
- 変動と固定で、身構え方がまるで違うこと
金利は「融資実行時」に決まります
まず大原則から。住宅ローンの金利は、融資が実行される日、つまりお金が実際に振り込まれる日の金利で決まります。
申し込んだ日でも、審査に通った日でもありません。
金融機関はたいてい、月末に翌月分の金利を決めて、翌月1日に公表します。だから、実行が3月なのか4月なのかで、適用される金利が変わることがあるんです。
「申し込んだときは低かったのに、実行のときには上がっていた」。上昇局面では、これが起こり得ます。
まず押さえておくこと
契約や審査のタイミングではなく、「お金が振り込まれる日」の金利。ここがすべての出発点です。
その「実行のタイミング」が、銀行によって違います
ここからが、あまり語られない話です。
注文住宅は、着工してから完成まで数ヶ月かかります。その間の融資の扱いが、銀行によって2パターンに分かれるんです。
1つ目は、着工の時点で建物分の融資を実行するタイプ。工事の段階に合わせてお金を出してくれる銀行です。
2つ目は、完成までを「つなぎ融資」でしのぐタイプ。家ができるまでの費用は一時的なつなぎ融資でまかない、完成に合わせて本来の住宅ローンをまとめて実行します。
どちらを使うかで、「金利が確定する日」が変わってきます。前者は着工のころ、後者は完成のころ。工事に数ヶ月かかることを思えば、この差は小さくありません。
それともう1つ、細かいですが大事な点を。融資の実行前には「金銭消費貸借契約」という契約を結びます。この契約から実際の実行まで、数日のタイムラグがあるのが普通です。月をまたぐ時期だと、この数日で金利が変わることもあるので、頭の隅に置いておいてください。
土地から買う方は、もう一段ややこしくなります(該当する方だけどうぞ)
ここは土地から購入する方向けの話です。建物だけの方は読み飛ばして大丈夫です。
土地から買う場合の2パターン
- 土地の精算時に、土地分を先に実行する銀行
- 完成まですべてつなぎ融資でまとめ、最後に一括で実行する銀行
前者、つまり土地分を先に実行するパターンには、知っておきたい落とし穴があります。
土地分は土地の精算時、建物分は着工時と、実行のタイミングが分かれるんですね。そうすると、同じ住宅ローン商品を選んでいても、土地の金利と建物の金利に差が出ることがあるんです。実行した月がそれぞれ違うので、当然といえば当然なのですが。
ただ、これは悪いことばかりではありません。タイミングが分かれるということは、土地は変動金利、建物は固定金利、というふうに商品を分けて選べることが多いんです。うまく使えば、むしろ選択肢が広がります。
自分がどちらのパターンになるかは、銀行や商品で変わります。土地から検討している方は、この点を早めに確認しておくと安心です。
フラット35は、少し事情が違います
固定金利で人気のフラット35ですが、これは民間の住宅ローンと動きが違うので、分けてお話しします。
まず、フラット35の融資実行は家の完成時です。つなぎ融資を使って、完成に合わせて実行する流れになります。
そしてもう1つ。フラット35は、民間の住宅ローンに比べて毎月の金利の動きが大きいんです。
民間の変動金利がしばらく横ばいでも、フラット35の金利は月ごとにけっこう動きます。しかもここ半年ほどは、はっきり上昇傾向です(2026年時点)。
完成時に実行ということは、着工から完成までの数ヶ月、金利が読めない期間を過ごすことになります。フラット35を考えている方は、この変動の大きさを最初から織り込んでおいてください。
なお、フラット35は金利の動き方だけでなく、審査の性格そのものが民間ローンと違います。銀行で色よい返事がもらえなかった方が、フラット35なら通るということも実際に起こります。理由は銀行に断られた人がフラット35で通る理由をまとめた記事で整理しているので、金利と合わせて見ておくと選ぶときの判断がぶれません。
で、結局どう身構えればいいのか
ここまで読んで「金利が動くリスクが怖い」と感じた方もいると思います。でも、実は選ぶ金利タイプによって、身構え方はまったく違うんです。
変動金利で組むなら、あまり神経質にならなくて大丈夫です。
変動金利は、そもそも借りたあとも金利が動いていくものです。実行のときに上がっていれば、正直「借りる前に上がっちゃったな、損した気がするな」とは思いますよね。その気持ちはよく分かります。
ただ、変動は実行後もずっと金利が上下していくので、スタート地点が少し違っても、長い目で見た損得は大きくは変わりません。(厳密には、スタートの金利が違えばそのぶんの差は出る可能性はあります。そこはゼロではない、とお伝えしておきます)
なので変動予定の方には、私も比較的気楽にお話しできます。
一方で、固定金利、特にフラット35を選ぶなら、話は変わります。
固定は実行時の金利で「ずっと」が確定します。だから実行のタイミングが、35年間の返済額を左右するんです。さっき書いたとおりフラット35は動きも大きいので、影響はさらに大きい。
ここが一番大事です
固定・フラット35を予定している方は、着工や土地精算が遅れて実行がずれるリスクを、契約の前に必ず確認しておいてください。「予定より遅れたら、金利が変わるかもしれない」と知っているかどうかで、心の準備がまるで違います。
最近は建築確認申請の遅れなどで、着工そのものが後ろにずれることも増えています。このあたりは建築確認申請が遅い・おりないときの記事で詳しく書いたので、スケジュールが不安な方はあわせて読んでみてください。金利の話と地続きなんです。
銀行選びは「金利の数字」だけじゃない
ここまでお話ししたとおり、実行のタイミングも、つなぎ融資の扱いも、銀行によってばらばらです。
だから銀行を選ぶときは、表に出ている金利の数字だけで比べないでほしいんです。「実行はいつになるか」「つなぎ融資はどうなるか」「土地と建物を分けられるか」。このあたりまで含めて、自分の家づくりのスケジュールに合う銀行を選ぶのが大事になります。
とはいえ、これを1行ずつ自分で調べるのは大変です。いくつかの銀行の条件をまとめて見比べられるサービスを使うと、この「数字に出ない違い」も含めて整理しやすくなります。
自分の年収や借入希望から、通りやすくて条件の良い銀行を提案してもらえます。まずは選択肢を並べて眺めてみたい、という段階の方に向いています。
住宅ローンの全体像を先に押さえたい方は、住宅ローンの全体像をまとめた記事から読むと、この金利の話も位置づけがつかみやすいと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. 申込時の金利で固定してもらうことはできませんか?
一部に「申込時と実行時の低いほうを選べる」商品もありますが、多くの民間ローンは実行時金利です。まず、自分が借りる商品がどちらの方式かを確認してみてください。
Q2. 実行の月がまたぎそうです。少し待てば下がりますか?
こればかりは誰にも読めません。数日〜1ヶ月の違いで大きく賭けるより、スケジュールを大きく崩さないほうが結果的に安全なことが多いです。金利を当てにいくより、動いても慌てない資金計画を組むのが本筋だと思います。
Q3. つなぎ融資には費用がかかりますか?
かかります。つなぎ融資の期間分の利息や事務手数料が別途必要です。金額は銀行によって差があるので、つなぎを使うパターンの場合は、その費用も含めて比べてください。金利や手数料の目安、そしてつなぎ融資と分割融資はどちらが得なのかは、別の記事で詳しく整理しています。
Q4. 変動と固定、結局どちらがいいですか?
この記事のテーマからは少し外れますが、ざっくり言えば「金利が動いても家計に余裕がある方は変動、返済額を確定させて安心したい方は固定」が出発点です。どちらが正解というより、ご家庭の考え方しだいですね。
おわりに
住宅ローンの金利は、申し込んだときではなく、お金が振り込まれるときに決まる。まずはこの1点だけでも、覚えて帰ってもらえたらうれしいです。
そのうえで、変動なら大きく気に病まなくていい。固定やフラット35なら、実行が遅れるリスクを先に知っておく。この身構えの差が、家づくりの安心につながります。
金利は自分ではコントロールできません。でも「いつ決まるか」を知っておくことはできます。知っていれば、動いても慌てずに済む。長い返済とつきあっていく家づくりだからこそ、こういう仕組みの部分こそ、最初に押さえておきたいですね。
次に銀行の担当者と話すとき、「うちの融資実行はいつになりますか?」と聞いてみてください。その一言で、見えてくることがたくさんありますよ。


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