家を建てる前に、こんなことを実感している人はあまり多くありません。
「アパートや実家で暮らしている間は、設備が壊れても自分でお金を払うことがほとんどない」
水栓が壊れても、エアコンが動かなくなっても、給湯器が止まっても——アパートなら大家さんや管理会社が、実家なら親が対応してくれます。だから、家の中の設備を「自分のお金で交換する」という経験が少ないですよね。
その結果、家を建てた後にこういう声が増えます。
「給湯器の交換でこんなにかかるなんて知らなかった」
「設備が次々と寿命を迎えて、出費が止まらない」
今回は、家を建てる前に必ず知っておいてほしい、住宅設備の交換費用の現実についてお伝えします。
住宅設備にも”寿命”がある、という事実
意外と住宅設備の交換修理にかかる費用は真剣に考えることが少なく、後で慌てる方が多いのも事実です。
家電に寿命があることは、誰でもなんとなく知っています。冷蔵庫や洗濯機を10〜15年で買い替えた経験のある方も多いはずです。
ですが、家を建てると——家電とは別に、住宅に組み込まれた設備にも寿命があります。
給湯器、コンロ、エアコン、水栓、トイレ、換気扇、インターホン…どれも10〜20年で交換時期がやってきます。
そしてここが大事なポイントです。
住宅設備の交換費用は、家電よりも高額になりやすい。
なぜなら、本体価格に加えて「取り外し・取り付けの工事費、処分費用」が必ず発生するからです。家電のように買って自分で設置、というわけにはいきません。
主な住宅設備と、知っておきたい交換費用の現実
ここから具体的な設備ごとにお伝えしていきます。
なお、これからお伝えする金額は私の感覚値での目安です。地域・物価状況・購入先・依頼する業者によって大きく変動します。あくまで「これくらいかかるんだな」という参考としてご覧ください。
【給湯器(ガス/電気で大きく違う)】
毎日のお風呂や台所で使う給湯器は、家の中でも特に交換時期が早めにやってくる設備です。
◇ガス給湯器:交換費用の目安は20〜40万円
本体価格と工事費を合わせてこのくらい。給湯能力(号数)や追い焚き機能の有無で価格が変わります。
◇エコキュート(電気給湯器):交換費用の目安は40〜60万円
エコキュートはタンク本体が大きく、本体価格自体が高め。据え付け工事も大掛かりになるため、ガス給湯器に比べて2倍程度の交換費用がかかります。
「電気で安く沸かせる」というメリットを売りにエコキュートを採用するご家庭は多いですが、交換費用まで含めた長期コストで見ると印象が変わることがあります。検討時にはこの点も意識してください。
【コンロ(ガス/IH)】
◇ガスコンロ:交換費用の目安は10〜20万円
比較的シンプルな構造で、交換も大きな工事にはならないことがほとんどです。価格は選ぶコンロによって前後します。
◇IHクッキングヒーター
IHはガスコンロに比べて本体価格が高めで、交換時にも専門業者の対応が必要になります。一般的に、ガスコンロより数万円〜十数万円ほど高くつくケースが多いです。
「IHは火を使わなくて安全」「掃除がしやすい」というメリットがある一方、交換コストはガスコンロより高くなりやすいという点も覚えておいてください。
【エアコン】
エアコンは10〜15年で交換時期がやってきます。
ここでよく見落とされるのが「家には複数台ある」という事実です。
リビング、寝室、子ども部屋…と、エアコンが各部屋に1台ずつ設置されているのが今の家の標準です。1台の交換費用は本体と工事費で十数万円から、機種によってはそれ以上。それが家の中で複数台あるということは、エアコンだけでまとまった金額の出費が発生するということです。
【床暖房・全館空調などの特殊な冷暖房設備】
最近の新築では、床暖房や全館空調などの設備を採用する家が増えています。
これらは「快適さ」という面では非常に優れていますが、交換費用が他の設備とは桁違いに高くなることを覚えておく必要があります。
採用している機種・面積によって大きく変わりますが、目安としては50〜100万円以上。以前の記事でお伝えした「床暖房の修理に50万円以上」という事例も、この範囲の話です。
【水栓(キッチン・洗面・浴室)】
水栓は単体で見ると数万円ですが、家の中に何箇所もあるのが盲点です。
キッチン、洗面台、浴室のシャワー水栓、洗濯機の水栓、屋外の水栓…合わせるとかなりの数。1箇所ずつ寿命のタイミングで交換していくため、地味に出費が重なる設備です。
【トイレ(特にシャワー便座)】
トイレで意外と早く故障するのがシャワー便座(ウォシュレット部分)です。
シャワー便座は精密な電子機器なので、10年前後で動きが悪くなるご家庭が多くあります。
ここで注意が必要なのは、最近主流の「便器一体型トイレ」です。便器とシャワー便座が一体になっているタイプは、シャワー便座だけが壊れてもトイレ全体を交換する必要があるケースがあり、想像以上に高額になります。
【レンジフード(キッチン換気扇)】
レンジフードは毎日の調理で油汚れにさらされるため、劣化しやすい設備のひとつです。本体交換時には、想像より大きな費用がかかることがあります。
【24時間換気システム・浴室乾燥機】
2003年から建築基準法で義務付けられている24時間換気システムも、機械です。本体交換やフィルター交換が定期的に必要になります。ただし、こちらは第一種換気か、第三種換気か、で使う設備が大きく異なるので、費用差も大きくなります。設備としては、第一種換気が高額なため、修理、交換費用も数十万円はかかります。
浴室乾燥機を入れた場合、使用頻度が高いご家庭ほど故障リスクが高くなります。
【インターホン】
インターホンは「壊れにくいもの」と思われがちですが、実は寿命が10〜15年程度と意外に短い設備です。最近主流のモニター付き・録画機能付きインターホンは、想像より交換費用がかかります。
設備費用は、家の維持費を大きく左右する
ここまでお伝えしてきた設備、ひとつひとつは「交換時期にお金がかかる」という話です。
ですが、これらすべてが家の中で同時に存在しているということを忘れてはいけません。
家を建ててから30年の間に、給湯器が1〜2回、エアコンが各部屋で1〜2回、コンロ、トイレ、水栓、レンジフード、インターホン…と、交換時期は次々にやってきます。
これらをすべて合計すると、30年で数百万円規模の出費が発生します。
家を建てる費用とは別に、これだけのお金がかかる。これが住宅設備の現実です。思った以上にお金がかかりますね。。。
設備を選ぶときに、考えてほしいこと
最後に、これから家を建てる方、リフォームを検討している方に、設備選びで意識してほしいことを3つお伝えします。
設備のグレードを上げすぎない
高機能・高グレードの設備は魅力的ですが、壊れたときの交換費用も高くなります。本当に必要な機能か、長く使うことを考えて選んでください。
修理対応のしやすさを確認する
特殊な機種や輸入品は、修理対応が難しかったり、部品供給が止まってしまったりするリスクがあります。一般的に流通している設備のほうが、長期的には安心です。
ガス/電気・IH/ガスコンロは「ライフスタイル+交換費用」で考える
これらの設備は、日常の使い勝手はもちろん大事ですが、それだけでなく、10年後・20年後の交換費用まで含めて選ぶ視点を持ってください。
おわりに
家を建てる費用は、家を建てたときに払うお金だけではありません。
住み始めてからも、設備の交換時期は次々にやってきます。これは、どんなに良い家を建てても、避けては通れない現実です。
だからこそ、「家を建てる費用」と「住んでからの設備費用」をセットで考えること。これが、住んでから後悔しない家づくりの大切な視点だと思います。ぜひ家づくりやリフォーム工事の参考にしてくださいね。


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